港湾施設等が損傷を被る危険性に対して予防措置を執らなければならない。如何なる環境においても常時すべての船舶が港域内に入港できるかどうかという問題が残る。避難場所に関する提案は、航行の報告及び監視システムに係わるエリカ号II法案の一部である。これらのシステムは、海上の安全性を改善し、EU水域における事故を防止する計画の一助となる。港湾サイド関係者は、港湾管理者のような他の団体と情報を交換することは非常に有益なことである。これにより、港湾サイド関係者は、船舶に関する情報をより有益に利用し、交通を監視し、危険物を運送する船舶にさらされる危険性を減少させ、危険物の安全運送に寄与することができる。
4.5 ISTDG14での参加者による決議事項の概要
(1) 決議1 危険物の海上運送に係るIMDGコード及び他のIMO文書の実施について
ヨハネスバーグISTDG14は、海上運送に係る危険物の効果的、かつ、安全な取り扱い及び危険物の海上運送を容易にするため関連国際条約に従って関係沿岸国(特に南アフリカ地区における沿岸国)に2国間又は多国間の合意若しくは取り決めを行うよう要請する。
(2) 決議2 危険物の海上運送に係る技術的援助
ヨハネスバーグISTDG14は、IMOメンバー国政府に関係国(特に南アフリカ地区の国)の教育訓練に係る職員の危険物の取り扱いに関する教育訓練のために国内海事訓練施設を提供し、IMOと協力して教育訓練のための奨学金を出資するよう要請する。
ヨハネスバーグISTDG14は、IMO事務局長に次の事項を行うよう要請する。
1 IMDGコードの規定を正しく遵守させるために技術的援助を要求している国に必要な資金を与える方法及び手段を探求すること。
2 この決議をMSC、MEPC、TCC及び全てのIMOメンバー国政府に提起すること。
(3) 決議3 IMOの船上/陸上作業グループ(SPI)
ヨハネスバーグISTDG14は、SPI作業グループを重要視し、関係国(特に南アフリカ地区の国)にSPI作業グループの作業に積極的に参加するよう要請する。
(4) 決議4 化学品の分類及び危険性情報に関するGHSの結果
ヨハネスバーグISTDG14は、IMOに国連危険物専門家委員会及び他の輸送モードの関係機関と海上運送規則に係るGHS基準の可能な取り入れを考慮して緊密に作業を継続するよう要請する。
(5) 決議5 謝辞
ヨハネスバーグISTDG14は、全ての参加国及び参加者に謝辞を表明する。
4.6 まとめ
日本において長年にわたって調査研究を行ってきた「液状化物質判別試験法」に関する研究結果を基にISTDG14において液状化物質の海上運送時の危険性について紹介した。その結果、本研究内容についての理解を深めることができたことについて、MSC議長、MEPC議長、IMO事務局次長等、多くの参加者から謝意が表明された。一方、本シンポジウムの各セッションにおいては、各国からの危険物海上運送に係わる最新の調査研究等の発表があり、これらの情報を我が国海事関係者に周知することにより危険物の安全運送に役立てたい。