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ターミナルにおける危険物の仕分け及び取り扱いは、短期間において行われる場合が多い。その取り扱いは、限定された区域において行われる。従って、その取り扱いは、安全な方法で行われ、隔離規定は簡単なものでなければならない。

危険物のターミナルでの取り扱いに対しては、種々のガイドラインが使用されている。そのうちの一つは、危険物を隔離する場合にそれぞの配置に関して特定の区域を指定することにより危険物の取り扱い場所を一カ所に集中させたモデルである。このモデルに従って危険物を取り扱った場合には、火災又は漏洩が生じた場合に取り扱い場所を集中させたことにより大事故に繋がる恐れがある。他のモデルは、ADRの隔離規定を適用し、配置に関して特定の区域を指定していない。これは、危険物が広範囲に配置されていることを意味する。これは、危険物の取り扱いに関して集中的な管理はできないが、事故時の危険性を減少させている。

どちらのモデルにおいても危険物を取り扱う者が危険物の性状を知っておくことが必要である。一方、危険物による事故及び火災を未然に防止し、又はその影響を最小限にくい止めるための設備を設ける必要がある。ADRの原則の適用に加えて、ターミナルにおける危険物貨物の流れについて論理的に扱うことができるようになれは、危険物の隔離がたやすく実行されようになり、危険物の取り扱いがより機能的になる。現代の情報技術により危険物の分配及び仕分けについては、ターミナル内の流れの中で予測することができる。

(3) 危険物の船舶運送に係る事故(ロッテルダム港安全・環境局、Mr. Eric M.M. van Hees)

船舶乗組員が危険物に係る事故等緊急時に常に適切な措置を行うことができるとは限らない。

この件に関する問題点には、少なくとも4つの側面がある。まず、第一に危険物に係る事故の原因を特定することが不可能な場合がある。推測される原因としては、ガスの放出、爆発及び火災の種類並びに船上での事故発生場所等が考えられる。第二に、船の種類により常に原因となった場所まで到達できるとは限らないことである。第三には、船上の危険物に関する情報の欠如や正確な情報が入手できるかどうかである。第四としては、危険物及び緊急時の処置に関する船舶乗組員の知識及び教育訓練の欠如如何である。

IMDGコード第30回改正の1.3節には教育訓練が新規規定されているが、現在のところこの節は、強制規定ではなく勧告規定である。また、IMOは陸上サイドにおける各規定に対する権限はない。船上/陸上関係者に係わる教育訓練の要件を規定することはできるが、危険物に関するほとんどの問題は、危険物の荷送人又は収納者から生じている。海上運送以外では、教育訓練に関する「セイフティアドバイザー」について欧州指令を通して強制化している。しかし、海上運送は、複合輸送にも係らず、現在教育訓練の要件が強制化されていない。理想的には、危険物の海上運送に係る陸上関係者のための職能別教育訓練が強制化されることが望まれる。

船上における偶発事故を予測してその対応を計画することは非常に困難である。陸上サイドにおいて緊急時の対応を行うことはより容易である。船舶を避難区域又は港に避難させることは、海難から船舶を救助する最善の方法である。「エリカ号」及び「キャスター号」の海難に基づいて、EUは、現在この規則(エリカII法案、避難場所)を策定しつつある。

港湾サイド関係者は、自治体として緊急時に船舶に助言及び設備を提供する責務がある。海上における生命の安全が最優先であり、陸上サイドにおいて如何なる場合においても妥協すべきではない。港湾サイド関係者は、更に港湾及び沿岸の環境も保護し、船舶に対する援助及び避難港としての場所を申しでること、及び経済的意味合いも考慮する必要がある。

 

 

 

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