●「慣習行動としてのケア、文化としてのケア」−ケアは出会いであると言っても、例えば今日介護しているお年寄りを、明日放り出すわけにはいかない。反復する行為になったときに、日常的な慣習行動としてのケアという要素が出てくる。慣習行動とは、つまり文化である。
「文化としてのケア」は、それぞれの習慣や考え方を変えるということにもなり、制度や政策を変えることにもなり、個別の出来事としてのケアのあり方を変えることにもなる。私たち自身の生き方を深め守っていくためには、「ケアの文化とはどのような文化なのか」を繰り返し問う必要がある。
●「自己表現とケアの文化」
文化としてのケアを考えるとき、言葉による表現、あるいはアートや宗教などの媒体が重要になる。自己表現がケアにつながるのであれば、それを私たちの日常の慣習行動として根づかせていくということも非常に大事である。これは同時にその人の実践を、他の人に向けて、世界に向けて発信していくことでもある。そのようなネットワークを私たちが広げていくということがケアの文化を構築していくことになる。