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A94 氷河期の原因が、すべてわかっているわけではありません。最古のヒューロニアン氷期は、温室効果ガスである二酸化炭素が光合成によって極端に減ってしまったことが原因かもしれません。石炭期からペルム期にかけては、超大陸が南極付近にあって巨大な氷床が形成される条件が整ったため起きたのかも知れません。もっとも最近の、百万年以降の氷河期の繰り返しのリズムは、地球の自転軸の傾きの変化、地球の公転軌道の扁平率の変化などによって、地球が太陽から受け取る日射量に変化が起きるために生じたと考えられています。

 

Q95 BIFとは何ですか?

A95 原始地球では、海水中にも大気中にも酸素は含まれていませんでした。そして海水中には、鉄のイオンが大量に溶けていました。ところが、シアノバクテリアが約27億年前から活発に光合成し始め、酸素を放出しはじめました。最初に吐き出された酸素は、それまで還元的な状態で海水中にとけ込んでいた鉄イオンを酸化して沈殿するのに使われました。こうしてできたのが縞状鉄鉱層です。縞状に見えるのは、珪酸に富む層と鉄に富む層が繰り返しているためです。BIFというのは、縞状鉄鉱層の英語の綴り(Banded Iron Formation)の頭文字を並べた略語です。現在生産される鉄鋼の主な原料は縞状鉄鉱ですが、そのうち92%のものが25億年前から19億年前に形成されています。現在の鉄を支えにした文明は、実にシアノバクテリアの酸素発生に遠い出発点があるのです。やがて、海洋中に溶けていた鉄がほとんど酸化されつくしてしまうと、いよいよ分子状の酸素が大気や海洋中に蓄積しはじめました。

 

Q96 共生説とは何ですか?

A96 生物は原核生物と真核生物に大別できます。生物の大分類である5界のうち、バクテリアが原核生物にふくまれます。他の4つのグループは、全て真核生物に含まれます。真核生物には遺伝子を染色体にまとめて納めた核があることからこうなずけられています。さらに酸素呼吸のためのミトコンドリアや光合成をおこなう葉緑体などの細胞器官が存在し、原核生物とは比べ物にならないほど複雑な細胞をもっています。興味深いことに、ミトコンドリアや葉緑体は遺伝子をもっており、最近その研究が進み、それぞれ好気性の原核生物やシアノバクテリアのものときわめて似ていることがわかりました。そこで、真核生物は、複数の原核生物の細胞内共生によって生まれたのだと考えられています。

 

Q97 最古の真核生物は?

A97 真核生物は、原核生物(10ミクロン程度の大きさの細胞しかもたない)よりも明らかに大きな細胞(直径40ないし200ミクロン)をもっています。18億年前の地層からは、大きな細胞をもつチュアリア(Chuaria)などの化石が見つかり、また真核生物に特有のステロイドという有機物が変化したステランという物質も発見され、これが真核生物最古の記録でした。ところが、最近になって21億年前のグリパニア・スピラリス(Grypania spiralis)の発見によって最古の真核生物の化石記録は3億年も古くなりました。この化石は、直径約1センチで蚊取り線香のようにラセン形をしており、アメリカミシガン州から報告されています。

 

 

 

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