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これらは、「真実」を十分に理解する、あるいは「責任を追及されるべきはだれか」を冷静に見極めることによって、防ぐことができます。

 

エ 相手の意思を尊重する

どのように解決に導きたいかは、被害者自身の考え方によって異なります。他者の共感が得られただけでよいという場合もあれば、組織として厳しく問題を追及し、加害者を懲戒処分にしてほしいという場合もあり、そのレベルは様々です。

もちろん、セクシュアル・ハラスメントの内容によって、組織としてどのように対処するのか、組織で定めた公平なガイドラインに沿って解決すべきですが、大切なのは、被害者がどのようにこの問題を解決したいと考えているか、その意思を尊重することです。相手が十分に話し終わるのを待って、相手に聞いてみるようにします。

仮に、被害者が考える解決方法と、組織で定めたガイドラインにギャップがあり、組織のガイドラインによる方法を採用したほうが好ましいと考える場合には、その内容を被害者に提案し、被害者の納得を得るようにする必要があるでしょう。

また被害者自身がどのような解決方法があるのか分からずにいる場合には、具体的にその解決方法を提案するとよいでしょう。この際も、自分の結論を押し付けないように注意することが必要です。

オ 記録をとる

相談を受けた内容は、必ず記録にとっておくようにします。この記録は、問題を解決する際の証拠となります。そして証拠としての精度をより高めるために、いつ、どこで、だれが、どのような方法で相談を受けたのか、客観的事実を記しておくようにします。

また相談を受けた人が監督者の場合、民法第715条(使用者の責任)の第2項によれば、使用者に代わって事業を監督する者にも、セクシュアル・ハラスメントが発生したにもかかわらずそれを放置した場合、その責任が追及されますので、自分はこの問題解決に向けて最大の努力をしたという証拠を残すためにも、重要になってくるでしょう。

 

 

 

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