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つまり、レイプの被害にあったことを打ち明けると、その相談に乗った人が、「あなたの行動にもスキがあったのではないか」あるいは「あなたが挑発したのではないか」と被害者の行動を批判することによって、被害者はさらに心理的ダメージを受けることになるということです。

百歩ゆずって、被害者にそのような行動があったとしましょう。

しかしこのような例を考えてください。

 

ある家に空き巣が入りました。実はその家の主は、うっかりカギをかけ忘れて、旅行に出かけていたのです。そのときに、「カギをかけ忘れた、その家の主がいけないんだ」という理屈が成り立つかどうかです。

少し冷静になって考えてみればよく分かることです。カギが掛かっていようがいまいが、他人のものをだまって盗む人は泥棒です。責任を追及されるべきは、カギをかけなかった家の主ではなく、他人のものを盗んだ人なのです。

 

時として私たちがセカンドレイプの加害者になってしまう背景には、レイプにまつわる「迷信」あるいは「神話」という偏見が一人歩きし、私たちが「真実」を知らないことによります。

例えば「深夜に一人歩きをしたからレイプにあうんだ」という考えかたがあるとします。しかし現実はどうでしょうか。レイプの約半数は普通の家の中で起きています。そして約3分の1は被害者の自宅で起きているのです。夜一人歩きしていなくても、レイプにあう危険性はあるのです。また「本当にいやならレイプをとめることができるはずだ」と考えるかもしれません。しかし、ほとんどの被害者は、抵抗したら殺すなどのように脅され、仕方なく従ったにすぎないのです。

「セカンドセクハラ」も全く同様のことで、「あなたの行動にもスキがあったのではないか」などと、被害者の行動を批判することによって起こります。

 

 

 

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