まず、他の人に相談内容を聞かれることがないように、プライバシーが守られる場所、例えば会議室のようなところで相談を受けるようにしましょう。相手が希望するならば、職場の外の場所を選んでもよいでしょう。相談を受けるには、プライバシーが守られるという条件のほかに、静かで明るく、落ち着いた雰囲気の場所が適しています。
相談を持ちかけられた時点で、必ずプライバシーを守るという約束をすることで、被害者に安心感を与えます。
また相談を受けたらすぐに時間をとることです。仕事の都合などですぐに時間がとれない場合には、具体的な日時を示して、必ず相談に乗る準備のあることを明らかにするような配慮が求められます。
加えて、被害者が女性で、相談を受ける側が男性の場合など、「女性を同席させて相談に乗ることもできるが、どうだろうか」と、被害者の相談しやすさを考えた提案をすることも大切でしょう。
ウ 被害者の話に耳を傾ける
相談の席では、被害者の話をよく聴き、共感の気持ちをもって耳を傾けることが重要です。
共感の気持ちで耳を傾けるとは、被害者の話を相手の速度にあわせてうなずきながら聴き、「そんなに辛い思いをしていたのですね」と、具体的に共感の言葉をかけることです。
また、被害者は、事実や自分の考えをきちんと整理して伝えられない場合が多いので、ときどき「これは、こういうことですね」などと、被害者の話を繰り返して確認することが必要になります。これによって、被害者は自分の話を熱心に聴いてくれているという感想をもち、相談を受けた人との信頼関係を深めるようになります。