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結局は本人のためを思ってということですし、そういう情報がないと、再発防止のための取り組みといってもなかなか難しくなってくることが考えられます。

主治医に電話一本で状態を話して欲しいなどというのは論外ですが、健康管理医を通して本人への対応の仕方を教えてもらうというのも一つの方法でしょう。

当たり前のことですが、本人のためにと思っての対応のはずですが、実際には早く通常の業務に戻ってもらわないと、職場としても困るし、いつごろをめどにしたらいいのかということを知りたいというのも正直なところあるでしょうし、それがいけないともいえませんので、前に述べたことの繰り返しになるかもしれませんが、なかなかメンタルヘルスの建前だけでは解決できないことが多いのが現状だともいえます。

復帰後も通院治療が必要とされる場合のことですが、特に狭義の精神疾患群では、再発の一番大きな要因は治療の中断、単純にいえば服薬をやめることだといわれています。本人の認識、自覚が一番大事なことは当然で、むしろそれ以外の心の病気の方が、きちんと通院するということもよくいわれていることです。

実際にきちんと薬を飲むようにというところまでは職場として介入することはできませんが、一つには本人がどのように通院するかという問題が出てきます。通常の病院などの診療の時間帯というのを考えれば分かることですが、大抵は本人の勤務時間内にかかってしまうわけです。

通院しなければいけないことは分かっていても、何となく遠慮したり、気が引ける思いがしてというのがよくあります。難しいのは、少なくとも時間的には正常勤務に復した職員を勤務時間内に病院へ行くことを認めるかどうかという判断になります。病気休暇等の制度がないところでは、半日年休を取ってというのは合理的のようですが、度重なると、年休のかなりを使ってしまうということで抵抗を感じるかもしれません。といって個人の問題ですから、職場としてもいいですよともいえないところがあるでしょう。

 

 

 

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