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ここでは、大部分の職場不適応〜ストレス障害では、まず休養が大切だということを強調しておくにとどめます。

 

(5) 職場での対応方法

実は、職場の中での広い意味での精神疾患等の大部分は、いわゆる精神病ではないのですが、数の多い少ないは別として、狭義の精神病がみられます。代表的なものとしては、精神分裂病とか躁病といわれるものですが、何度も繰り返すように、悪性の精神病だとか、治らない病気などというわけでは決してありません。ここで、このような病気の症状などを説明するのが主旨ではありませんので省略しますが、やはり困るのは自分の状態についての自覚がないことです。

「集中ができない」、「落ち着きがなくて、仕事にミスが多い」などと指摘されるとかえって怒ってしまう。よく被害妄想などという言葉が出てきますが妄想というのは、事実でないことを本人が事実だと確信をもっていることですから、例えば、「自分は上司から疎まれているのではないだろうか」と気にしているというのは妄想ではありません。「自分は上司から憎まれている」、「上司は自分を追い出そうとしている」と本人が信じ込んでいればこれは妄想ということになります。このような場合、どう本人に説明しても全く耳を貸さないということになります。念のため妄想というのは、精神分裂病にだけ現れる症状ではありません。このような時、休養させて冶療のレールに乗せることは、もちろん本人のためではありますが、実際にはこのような職員がいると職場としてはそれに振り回されて仕事に支障が出る。本音を言えば、はた迷惑であるということになりますから、休養を取らせるのは、職場全体のためでもあるということになってきます。しかし、勧めても本人は、医師に診てもらうとか、休むということを承知しないことが多いのです。

結局、上司、職場としては、健康管理医や精神科専門医に相談せざるを得ないということになります。

 

 

 

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