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この中に入れられるものとして、急性ストレス反応とか、PTSD (心的外傷後ストレス障害)といった、新聞などでもこのごろよく目にする診断名があります。

ただ、ICD10では、現れた精神症状を主体の判断が多いため、その成立の機序について、分かりにくいところがあるかもしれません。

また少し従来診断的な疾患に話しが戻りますが、ストレス関連で心身症といわれる一連の疾患群があります。精神科というより心療内科でよく取り上げられるようです。

ICD10にはこの診断名はありませんし、ややあいまいなところもあるので、将来は、心理的要因が関係している身体疾患群というような具体的ないい方になっていくかもしれません。それはそれとして、様々な身体病の中に、その発症や増悪に心因一ストレスが関与していると思われるものがあります。これは、具体的な疾患名を挙げると切りがないのですが、胃潰瘍、十二指腸潰瘍がストレスによって起こってくるというのは、何となく知っていることのようです。また何か心配ごとがあると血圧が上がるなどというのも何となく分かるような気がします。実際にストレス過剰になると、何故このような病気が起こってくるかの説明もそう単純ではないのですが、一応ストレス過剰は生体の自律神経系、内分泌系に影響して、そのバランスを崩して疾病の原因になるとされています。自律神経系というのはご存知と思いますが、交感神経と副交感神経があって、それが上手くバランスをとって生体の機能を維持していると考えられていますが、ストレスによって交感神経緊張状態になると、例えば胃液の分泌が盛んになりすぎるとか、胃の血管が収縮して貧血気味になって、それが消化性潰瘍の原因になるなどの説明があるようです。この辺は最初に述べた、身体の健康と心の健康、つまり健康とはトータルなもの(トータルヘルス THP)ということとも関係してくるのでしょう。心身症の成り立ちを説明すると切りがありませんので、心身症とされる代表的なものを表示しておきますが、この他にもまだいろいろあると思います。事実ストレスによって発症したと考えられる身体疾患の事例もよく見られます。

 

 

 

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