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5 精神疾患等発症の要因

 

ここで説明することは、ストレスと精神疾患ということと重複する部分もありますが、精神疾患の発症の原因が何であるかというのは極めて難しい問題です。そこで、原因といわずに要因というややあいまいないい方をすることになります。

 

(表10)

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また一つの要因で、発症を説明できることはむしろまれで、いくつかの要因が重なって発症するとも考えられます。それぞれの要因の占めるウエイトによって、あとで説明する精神疾患について、従来診断では特にそれを考慮して診断をつけるということになります。

ア 素因

心の病気に限らず、どんな病気でも、それにかかりやすい、なりやすい体質、素質をもっているということがあります。高血圧、糖尿病その他生活習慣病といわれるものの中に体質が関与していると考えられる例も多く見られます。心の病気の場合は性格というのも素質の中に含まれるでしょう。これらをひっくるめて、素因ということにします。

取り巻く家庭、社会、職場などの環境に、特に問題があるとは考えつまり精神的な負担になることや、俗にいう精神的なショックこれはストレスといい換えてもいいのですが、そういうものがないようなのに、精神症状を示し、何らかの精神疾患を発症することがあります。従来診断の中では、狭義の精神疾患−精神分裂病、躁うつ病−がこれに入れられるわけですが、これらは多分に遺伝的な要因があるとも考えられています。

 

 

 

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