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それに応じて機材等の援助を実施するため同国が有する観測設備の現状や技術者の要請に必要とされる事項について調査を実施した。

(4) チーム派遣方式技術協力

フィリピンに対し、平成11年11月から専門家派遣、研修員受入、機材供与等により電子海図作成技術移転を実施しており、平成12年6月からは専門家チームを派遣して実施している。

 

3. 邦人救出

平成10年5月、インドネシアの不安定な政治情勢を背景として、学生、一般市民等による暴動が発生した。インドネシア治安当局は、暴動鎮圧のため治安部隊を出動させ鎮圧に乗り出したが、国内各所で、暴徒と治安部隊との激しい衝突が発生し、その状況は、一時予断を許さないものとなった。

平成11年8月、東チモールにおける特別な自治に関する枠組み案に対する直接投票が実施され、この後、東チモールの治安状況は急激に悪化し、邦人を含め、多くの外国人が東チモールからの撤退を余儀なくされた。

海上保安庁は、これらの事案に対し、外務大臣からの協力要請により、危険地域からの邦人救出に万全を期するため、ヘリコプター搭載型巡視船をインドネシア方面に派遣した。結果的には、実際の邦人救出業務は行われなかったものの、在外邦人救出対応という海上保安庁創設以来初めての任務を実施した。

アジア地域には、政治的、経済的に不安定な国が多数存在し、かつ、そのような国には多数の邦人が居住している。米ソの冷戦終了後は、米ソという二大大国の緊張関係が消滅し、地域的、民族的又は宗教的な紛争が発生しやすくなっているとも言われており、今後も、同様の任務を実施する可能性は高いと考えられる。また、事案発生後の対応に加え、国際協力を通して、これらの不安定な国が政治的、経済的に安定するよう、海上保安庁としても、可能な分野で積極的に国際協力を実施していく必要もあると考えられる。

 

 

 

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