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4. 国際緊急援助活動等について

海上保安庁では、「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」に基づき、海外の地域、特に開発途上にある海外の地域において大規模な災害が発生し、又は発生しようとしている場合に、当該被災国政府等の要請に応じ、救助活動、災害応急対策及び災害復旧のための活動並びに海上保安庁の船舶又は航空機を使用した国際緊急援助活動を行う人員又は当該活動に必要な機材その他の物資の海外の地域への輸送活動を実施するための体制を整えている。

最近の派遣実績としては、平成11年8月のトルコ地震災害救済国際緊急援助隊救助チームに職員7名を、同年9月の台湾地震災害救済国際緊急援助隊救助チームに職員13名を派遣した。

注)日本国政府と台湾政府との間には国交関係が存在しないため、国際緊急援活動の要請は国連の一機関を通じて日本国政府に行われた。

最近の傾向としては、救助活動の現場が海上でなくても、海上保安庁が有する救助活動に関する知識・技能が十分発揮できると考えられる場合には、積極的に職員を派遣している。国際緊急援助隊の救助チームは、通常、海上保安庁、都道府県消防・警察からの救助隊員が主体となり構成され、現場においては、組織間の壁を越え、人命救助という共通目標に向かい、足りない部分を相互に補い、一致協力して作業に従事している。国際協力という本来的な目的に加え、海上保安庁職員にとっても、この活動から貴重な経験等が得られることもあり、今後も、この積極的な方向性は継続する予定である。

 

5. 国際平和協力業務について

海上保安庁では、「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」に基づき、本来任務の遂行に支障を生じない限度において、海上保安庁の船舶又は航空機の派遣、国際平和協力隊への職員の派遣等により、国際平和協力業務に協力していくこととしている。

海上保安庁は、これまで本業務を実施した経験を有していないが、冷戦終了後の地域紛争、民族紛争の頻発化等を背景として、国連によるこのような活動の重要性は今後ますます増加するものと考えられる。被災民の救助、救援物資の輸送等海上保安庁の経験・能力を活用できるような分野について協力の要請がある場合に備えて、必要な準備態勢を整えておく必要があると考えられる。

 

 

 

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