その一方で、最近においては、我が国の"国益"を越え、国際社会の一員として、また、世界でも有数の勢力、技術及び知識を有する海上保安機関を有する先進国として、その果たすべき役割の範囲が、従来の"国益"というものに限定されず、広がってきていると考えられる。
以下に、海上保安庁が行う国際協力・国際貢献の現状を紹介する。
2. 技術協力
開発途上国における海上保安業務の充実等に協力するため、国際協力事業団を通じ、研修員の受入れ、専門家の派遣等の技術協力を行っている。
(1) 研修員の受入
平成12年度は、集団研修として「救難防災」、「海洋保全」、「水路測量(国際認定B級)」、「航路標識」及び「海洋調査・データ処理」の5つのコースを実施した。
(2) 専門家の派遣
平成12年度は、短期専門家(派遣期間が1年未満のもの)として、
○インドネシア(防災分野6名)、
○フィリピン(救難分野3名、防災分野3名、航空捜索救難・海洋環境監視分野3名、警備分野2名、水路分野2名)、
○トンガ(警備分野1名)
に、また、長期専門家(派遣期間が1年以上のもの)として、
○インドネシア(救難防災分野1名)、
○マレイシア(水路分野1名)、
○フィリピン(救難防災分野1名、水路分野2名)、
○モーリシャス(水路分野1名)、
○ヴィエトナム(通信分野1名)
に専門家を派遣した。
(3) 開発調査
平成5年度から実施しているフィジー国の主要航路の安全確保を目的とした「北ラウ諸島海域海図作成調査」が平成10年に終了し、海図3版を完成させたが、今後、フィジー水路部の体制強化のため、面的測量が可能な音響測深機が必要であるという提言がなされた。