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○通報事項

・海洋の科学的調査を実施する機関の名称、使用船舶の名称・種類、責任者

・当該調査の概要(目的、内容、方法及び使用機材)

・当該調査の期間及び区域

 

これまで海上保安庁は、追尾監視、中止要求等により対処してきたが、相手側が要求に従わない場合には、それ以上の措置が取れず対応には苦慮してきた。今般の事前通報制度は、通報の対象水域等内容的に不明確な部分もあり、我が国近海における外国海洋調査船の問題を根本的に解決するものではないものの、問題解決に1歩前進したものと評価することができる。

 

2. GMDSS体制への移行

これまでのモールス無線電信を主体とした遭難・安全通信システムは、遠距離通信に対応できないこと、突然の船舶の転覆等に際しては遭難信号が発信されない場合があること等の問題点があり、これに代わるシステムとして、国際海事機関(IMO)における検討を経て、平成4年2月、GMDSSが導入された。

(参考)GMDSS

海上における遭難及び安全に関する世界的な制度Global Maritime Distress and Safety Systemの略であり、衛星通信技術やデジタル通信技術を利用することにより、船舶は世界のいかなる海域で遭難しても捜索救助機関や付近航行船舶に対して迅速かつ確実に救助要請を行うことを可能とするシステムである。

海上保安庁は、本邦から1200海里にも及ぶ広大な捜索救助海域を有している。GMDSSの導入により、広大な捜索救助海域における捜索救助業務のより迅速かつより的確な実施が可能となった。

 

3. グローバル化の急速な進展と、その負の財産としての国際犯罪の発生

人、物、資金、情報等が大量に国境を越えて動く昨今においては、今後、国境という垣根がますます低くなることが予想される。見方を変えれば、一定の利害関係の共有性、地理的共通性等から、複数の国家を含む地域の活動の重要性に徐々に目が向けられてきているということも言える。この現象は、特にヨーロッパ地域において顕著であるが、全世界的な傾向であるとも考えられる。

 

 

 

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