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このような観点から、海上保安庁では、近隣国カウンターパート機関との関係(二国間レベル)、我が国が位置する東アジア地域、我が国の国益と密接な関係を有する東南アジア地域等のカウンターパート機関との関係(多国間レベル)を構築し発展させることなどにより、また、国際機関等の様々な活動に積極的に参画することにより、海上における様々な活動・事象に対し、より効果的、効率的に対処していくこととしている。

平成12年度は、このような連携、協力関係の構築に係る海上保安庁の積極的なイニシアチブにより、4月には「海賊対策国際会議」が、また12月には「北西太平洋地域海上警備機関長官級会合」が開催されるなど、海上保安庁の国際関係業務が躍進した年でもあったことから、21世紀への船出を機に、ここ最近の海上保安庁の国際関係業務を概観してみることとする。

 

外的要因による海上保安業務の変化

 

1. 国連海洋法条約の締結を契機とした業務の変化

(1) 監視取締り水域の拡大

平成8年7月、国連海洋法条約が我が国について効力を生じた。これに伴い、「領海及び接続水域に関する法律」、「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」が施行され、我が国の主権的権利等が及ぶ範囲が大幅に拡大された。海上保安庁では、従来をはるかに上回る広大な海域で海上犯罪の監視取締り等の業務を実施することとなった。

本条約の発効により、これまでの海上保安業務が大幅に変化することとなった。例えば、接続水域という新たな概念の導入により、当該水域で、通関、財政、出入国管理、衛生の4つの分野について、法令違反の防止のために必要な措置をとることが可能となった。特に、密航事犯、銃器・薬物の密輸事犯への対応、領海警備の実施に際しては、この接続水域を活用することにより、より、効果的な予防・取締りが実施できるようになった。また、排他的経済水域においては、海洋環境保護・保全等の分野について、主権的権利を行使することが可能となった。

 

 

 

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