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さらに、STSの利用データをもとに分析を行った。例えば、1998年3月のある一週間のデータでは、STSの予約が1,200件あった(運行時間は9時から16時である)。通常の運行区域外に起点・終点があるトリップを除くと、およそ800件であった。さらにその800件の予約データの起終点に関する情報を詳しく調べ、STSの利用者をフレックス・ルートに取り込むための、戦略的なMP設置計画が練り上げられた。これにより、STS有資格者宅からおおむね150m地点にMPが設置が実現されている。残念ながらSTS有資格者以外の65歳以上の潜在的な需要にについては十分に把握されていない。

MPを設置したいと思う場所には、スタッフが出向いて段差や電柱がないか基礎調査を行う。17人乗り車両が採用されることが決定していたので、それが十分に使える道路条件等を調べた。MPはバス停のように設置され、「フレックス・ルート」であること、および「番号」が表示されている(図5-4-4-12)。

 

図5-4-4-12 街路やショッピングセンターの軒に設置されたミーティングポイント

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iii) 運行計画の樹立

運行本数は1時間に1本とした。平均値として1時間に8〜9人の人が乗車し、停車回数は12回程度という予測をたてた。想定したエリアをカバーするために、1時間で運行が可能かどうかが重要なポイントとなった。この停車回数を超えると、1時間ではルートを回り切れなくなる。

MPの番号は、100番台から900番台までふられている。都心部に400番台をおき、郊外の両端に行くにつれて、それぞれ100番台、900番台を設定している。つまり、中心部に向かうバスはつねに400番台に近づき、逆に郊外に向かう場合は100番ないし900番に近づく(図5-4-4-10)。MPの数字は奇数が使われている。将来的にMPを増やした場合に、偶数の番号を入れるためである。

前述のように立ち席での乗車は認められていない。予約時に乗車地点、降車地点を把握しているので、バスに何人乗車しているのか常に把握されている。当日の予約状況の変化も車載端末を介してプリントアウトされ、常にドライバーに知らされる(図5-4-4-13)。利用者のほとんどが高齢者であることを想定すれば、着席できないという事態は避けなければならない。もし予約時に定員を超えてしまった場合には、タクシーを配車して対応することになっている。

 

 

 

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