日本財団 図書館


国内の15の地域にそれぞれ支部を置いている。各障害者団体は地方支部に1名、DSI本部に2名の代表を派遣している。議長及び理事会は選挙によって選出されている。

 

2] 財源

運営資金は宝くじの収益金からの助成とDSIが取り組むプロジェクトによる資金で賄われている。プロジェクトに関しては民間、政府双方から委託を受けている。例えば発展途上国で障害者の支援組織を立ち上げる援助活動などである。

また、現在はDSIが資金を調達し、民間や行政に貸しつけて障害者施設をつくる活動も行っている。一方で資金を得る事は重要であるが、加盟団体が資金を得ている領域に踏み込む事はできないので、基本的には公営ギャンブルからの資金を主な原資としている。

 

3] デンマークの公共交通について

コペンハーゲン市内の高齢化率は現在20%で、EU域内でみると人口の1/3が高齢者または障害者と言われている。

税金を投下したものは誰もが使用できなければならないと言う視点が重要であり、社会へのインテグレーションにおいて交通はなくてはならいものと考えている。デンマークにおいては交通バリアフリーの分野に関する包括的な法律がないことから、その点では日本のほうが進んでいると言えるのではないか。公共交通に関しては、現在100km以上の区間は1日1便以上の車いすでも乗車可能な車両を走らせるという規定しかない。

国が法律を策定しても、実際に実施するのは地方自治体の責務であり、国の理念は立派でも、末端は大変だという意識が強くある。メインストリームの整備が重要な一方で、公共交通がいくら整備されても利用できない人がいる。従ってハンディキャップ・サービスは必要である。しかし、障害者はハンディキャップ・サービスを使っていれば事足りるという発想で、公共交通のバリアフリー化が進まないのでは問題である。交通においてもインテグレーションが必要である。過疎地の例では、ボンホルム島というところでハンディキャップ・サービス(ハンディBATという)に、一般の人も乗せて島内を運行し、利便性を高めている事例がある。アクセシブルな交通であれば、誰でも利用できるので、障害者に限定せずこうした使い方を考えていく必要がある。

 

a. バス

5,000万DKK(約7億5千万円)を5回にわたって、アクセシビリティ向上のために運輸省から投入された。それにより多くの街でローフロアバスが走る事になった。現在のバスのスロープは手動式であるため、車いすで利用する際には介助者をつけてほしいというのが、HTの立場である。単独で乗車する際に誰が車いすの介助をするのか問題になっているのである。ドライバーは現金を預かっているので、座席を離れられないことを理由に介助を行わないことになっている(最近車内では高額の回数券等は扱わなくなっているらしいので、こうした心配はないと思われる)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION