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障害者の機会の平等に関する国連標準規則(The United Nations Standard Rules on Equalisation of Opportunities for Persons with Disabilities)の実施は、協議会の行動計画の中でも特に高い位置付けがなされている。

 

(3) 障害者機会均等センター(the Equal Opportunities Centers for Disabled Persons)

障害者機会均等センターの設立は、この政策を現実的に具体化するための組織として意図されたものである。センターは行政や省庁間の垣根を越えて活動する役割を与えられており、主要な目的は以下の2点である。

1) 必要とされる情報を国内的にも国際的にも調査収集し、提供、普及させること、様々な障害が与える影響、障害者に何らかの影響を与えている社会的状況に関して十分な情報収集活動を行う。

2) 障害者に対する差別について監視する。

センターでは国会および社会総務省に対して年次報告を行っている。

物理的環境のアクセシビリティに関しては都市住宅省が主務官庁となり、省庁間の委員会が設置されている。委員会が取りまとめた計画では、45の先駆的プランが示され、障害者の直面する物理的環境のバリアー解消が進展することになっている。

1993年に国会は、全ての公共団体および民間企業は障害者を他の人たちと同じく平等に扱わなければならない、という勧告決議を行った。同時に国会の承認により障害者機会均等センターが設立された。国会の選択した障害者問題の政治的解決方向は、特別な法律を制定するのではなく、公共団体と障害者組織が協力する事により、障害者が置かれた状況を広く世間に知らせて、障害者問題に対する認識(awareness)を高めようとするものである。

 

(4) デンマーク障害者協議会(DSI: De Samvirkende Invalideorganisationer: Danish Disability Council)

1] DSIの組織概要と目的

DSIはデンマーク国内で唯一の障害者擁護組織(umbrella organization)として、29の障害者団体が加盟した組織である。ほぼ全ての種類の障害を網羅しているといえるが、現在のところアレルギー疾患のグループは入っていない。29団体を合わせておよそ35万人の会員を擁し、デンマーク国内の障害者の割合が現在10%程度と考えられるが、その半数以上が加盟していることになる。

常勤スタッフは20名であるが、およそ500名の障害者のボランティアスタッフが運営に協力している。

DSIの主な目的は、加盟組織の利益擁護にある。とりわけ政府との代表的な交渉窓口として、教育、就労、保険などの障害者全体の問題に関して活動している。中央省庁、地方自治体等で何らかの諮問を必要とした場合、障害者団体の代表派遣を要請されることは日常的になっている。全国障害者協議会にも7名の代表を派遣している。

 

 

 

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