電動スロープを要望しているが、冬季に凍ってしまうので無理だというのがHTの見解である。しかし、降雪のある国でも十分に使用している例があり、デンマークでも早期に電動スロープ付きのローフロアバスを導入するよう求めている。
b. 国鉄(DSB)
車いすを使用して長距離の列車に乗る場合、2日前に電話しなければならない点が利用者にとって不便である。スウェーデンでは可能になっているシステムが、なぜデンマークでできないかという点で交渉を進めている。
エーレスンド海峡(デンマークとスウェーデンの間の海峡)を渡る列車には低床の車両が導入された。しかしホームの高さが異なる駅が残されており、場所によって5cm〜13cmの段差が生じているため、低床車両も利用できないことがある。また、低床車両は、スーツケース(空港も経由するので)や乳母車ばかりの環境に乗らなければならないということで、不満を訴える障害者もいる。
将来的には他のEU諸国の列車がデンマーク国内を走ることも考えられるので、早急な整備が必要である。なお、DSBでは介助者は無料で乗車できる事になっている。
c. 医療系のスペシャル・トランスポート
ハンディキャップ・サービス以外の、病院送迎などのサービスが行われている。病院やリハビリテーションなど、行く先により、県または市がサービスを運営している。病院は県の管轄である。このサービスは医者の指示により利用することが可能である。
デンマークの医療制度は地区医が全ての判断を行い治療も行う。地区医が対応できないものだけ病院または他の専門機関に行くことになる。地区医への通院送迎は、市レベルの自治体が対応している。
4] 交通政策に関する活動
a. EUの中での活動
EU諸国内での障害者団体の連携は行っている。過去には情報提供が重要という提言を出した。EUの中でも北欧と南欧との考え方が違うので調整の場面も多い。
EUレベルの障害者組織として、European Disabled Forum (EDF)という全体組織があり、EUが何か調査を実施する時は、EDFで統一見解を出すこともある。
EUレベルでの基準である、コスト335(鉄道)、コスト322(バス)の策定でDSIも意見を提出している。基準ができたあとに「内容について意見を出してください」というアプローチがあったため十分に意見が反映されているとはいえない。例えば、エレベーターは昔の基準をそのまま用いており、EUでは1.1m×1.4mとしている。現在は電動車いすの大型化など、このサイズでは対応できない状況があるのが実態である。