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鉄道については、600億ポンドの使途に関する提案では(スコットランド、ウェールズ含む)、運賃の低廉化、信号設備の改善、駅施設の改善等が行われる予定である。さらに現在自動車輸送が行われている貨物を、鉄道に転換していく方策も含まれている。

また、パディントンの列車事故の教訓から車両の安全対策にも重点が置かれる。

鉄道戦略局(the Strategic Rail Authority)に対してはさらに、70億ポンドが配分され、サービス改善のために、鉄道事業者が車両に対して必要とされる投資を行いやすくする措置が含まれる。

 

表3-2-2-5 10ヶ年計画で組まれた予算

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出所) BBCニュース−2000年7月20日

 

道路には、210億ポンドがシステム改善のために使われる予定で、町村を取り巻く100のバイパス新設が含まれている。また、延長360マイルにおよぶA1、M6のような混雑路線に関しては、拡幅を予定している。さらに幹線道路の60%にあたる部分では、低騒音舗装をすすめる事を明らかにしている。同時に、「電子自動車道」化をすすめ、ドライバーにとって様々なインフォメーションが得られる道路を目指すとしている。

目下のところ道路混雑は確実に増しており、今後の予測においても増加傾向が続くとされている。しかし、先の大臣発言では現在の混雑水準を今後10年間において5%引き下げる事を明言している。

道路の有料化については、今回の10か年計画からは除外されているものの、地方自治体が混雑税および業務地域での駐車に関する課税導入を促される可能性が高いといえる。

バスやトラムに関しては、イングランド内の地域交通スキームに割り当てられた260億ポンドの使途のうちの一部分は、バス利用の10%増を目標とした整備に充てられる。

都市部以外の地域では、全世帯のうち3分の1以上の世帯が、1時間に1本以上のサービスのあるバス路線の停留所が、徒歩10分圏内になるように計画をすすめる予定である。

その他に、都市部では25の新設のトラムとLRT整備および、新規トラム沿線のタウンセンターにおけるビル建設のための予算が予定されている。

また首都の重点施策として、ロンドン交通局(Transport for London)のために32億ポンドの特別投資が行われる。プレスコット運輸大臣は、ロンドン市長ケン・リビングストンからの要請である30億ポンドを上回る回答を示し得たとしている。

この特別投資により、新たなリンクとなるロンドン楕円環状線の整備および東西の鉄道新線リンクのような長期プロジェクト、さらに東テムズの道路と鉄道の交差事業等に充てられる予定である。

 

 

 

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