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(i) 資金援助

-150GRT超、長さ24m以上の鋼製漁船をタイ国内造船所で建造する場合には、農業銀行および農協から信用が供与される。

-輸出向けを条件に通常金利でのリボルビング資金提供と外国からの低利融資の斡旋、また新造船または修繕船受注の証明があれば材料の輸入に便宜が図られる。

(ii) マーケティング支援

-輸入船には新造、中古を問わず、関税、その他の租税が賦課される。

-政府の船舶調達では、外国造船所との入札価格差が15%以内であれば、国内造船所が優先される。

-政府機関の船舶調達では国内造船所が優先される。

(iii) 投資インセンティブと特典

-外国の専門家、技術者、その扶養家族を呼び寄せる許可

-国内生産が不可能な工場機械設備の輸入税、その他の租税免除

-配当に対する法人所得税の免除

-借入の返済、投資、配当支払いのための外貨を国外に送金する権利

 

4. タイの造船・修繕船技術

タイの「あまり近代的でない」造船所で採用されている造船・修繕船技術は、在来技術の域を脱していない。Italthai Marine、Bangkok Dockおよび海軍工廠のみがブロック建造法を実施できる。タイ王国海軍の工廠部は一部の分野で一貫建造の能力を具え、モジュール建造技術も研究中である。

 

(1) 設計技術

初期レイアウトを含め、船舶建造の設計、図面はその大半が海外、特にシンガポールから輸入されるか、外国で承認された設計図を船主が造船所に支給する。したがってタイ国内では設計技術は十分に発達していないといえる。その主因は、自前の作業が可能になるような、研究開発に対する本格的支援と船舶設計技術者、製図工の雇用に本格的投資が欠けていることにある。設備、工具、CAD技術と経験を積んだタイ人船舶設計技師の不足も、発展を遅らせる一因となっている。

 

(2) 現行の建造技術

他国では広く採用されているブロック工法を、タイ国内の大抵の造船所では実施していない。そのため工期も他国より長くなる。一部の例では、500GRT未満の船を竣工させるのに、国内造船所では12ヵ月も掛かる。そのため、域内の他国に対しても競争力がない。また、大型船建造の機会に恵まれなかったことも、タイの造船所に新技術が導入されなかった一因と指摘されている。国内建造船の大半は内航船、はしけ、河川航行船、小型油送船など、1,000DWT未満の船である。タイの大手造船所でも、近代技術を必要とする大型外航船建造の経験はない。

 

 

 

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