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特積みトラックの利用に際しては、時間・運賃の条件に加え、低い欠航率による信頼性の向上が鉄道との差別化に貢献している。

また、当日深夜までに集荷した貨物を翌々日の早朝に出荷することが可能となるため、上りでは生鮮食料品、牛乳の利用が拡大している。

 

3] 収支状況の変化

まず支出面に着目すると、対象航路では、従来3隻で週6便のサービスを提供していたが、超高速フェリーの導入により2隻でデイリー運航が可能となったことから、船舶の償却費や船員費などのコスト削減効果は存在する。ただし、償却費については従来の船舶がすでに償却を終えていたため、直接的な比較は難しい。一方、燃料費については、高速化に伴い従来の約3倍かかっており、この部分についてはコスト上昇要因となっている。

次に収入面については、輸送量の増加に伴い運賃収入も増加することとなるが、運賃水準は、品目・顧客等により多様であることから、効果の大小については一概には言えない面がある。ただし、特積みトラックのように付加価値の高い貨物が増加していることから、運賃水準もそれに伴って上昇するという側面はある。

 

4] 今後の課題

運航ダイヤについては、なるべく遅く出発するというのが基本的な考え方であるが、現在より東京港の出発時刻を遅くすると、苫小牧港への到着が遅れ、苫小牧・札幌近辺から道内各地へのトラックの便に間に合わなくなってしまうため、運航ダイヤについては、現状がベストと考えられている。なお、川崎〜日向・宮崎航路における畜産品のように、到着時刻が遅すぎて困る、という問題は特に生じていない。

ターゲットとなる品目としては、付加価値の高い雑貨類が中心となるが、その中でも今後は特積みトラックに加え、貸切トラックの利用拡大が課題となっている。その際、ダイヤ、運賃が基本的な条件であるが、加えてユーザーが対象航路の運航ダイヤに合わせた対応を取ってくれるかという点も条件となる。

また、需給調整規制の廃止に直面する状況で、関東〜北海道間の航路は乱立気味であり、船腹過剰の状況にあることから、今後は航路の撤退や集約化も起こり得ると考えられる。

 

 

 

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