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こうした中で、対象航路は上記のような多数の利点を有していることから、今後も利用を拡大していきたいと考えられている。鉄道については地震や台風等の災害で不通となることが多く、その際に最寄り駅に荷役機械がないと、身動きがとれないという問題があることが課題となっている。

また、各荷主企業とも、労働時間は短く、営業時間は長く、という方向のため、集荷の時間が後ろにずれ込みがちであり、海運や鉄道の利用を促進するためには、顧客の協力も欠かせないと考えられている。ただし、複数の輸送手段を利用することにより、災害時等を想定したリスクの分散や輸送手段間の競争による運賃水準の低下・サービス向上等が期待されることから、最終的にも複数の輸送手段を組み合わせて利用する形態となる可能性が高い。

 

(4) 超高速フェリー導入による効果・影響

1] 輸送量の増加

1998年下半期および99年下半期の対象航路の輸送実績を比較すると(表4-1-6)、超高速フェリーの導入が99年9月であり、99年下半期の実績においては9〜12月の4カ月分の効果に限定されるにもかかわらず、98年下半期と比較して輸送実績が概ね1.5倍に増加している。特に東京発の下り便については、2倍近い伸びとなっており、従来上りが下りを上回っていたにもかかわらず、超高速フェリー導入後は実績が逆転している。

ただし、(3)1]に述べたように、超高速フェリーの導入後、1999年12月に同一区間に大型RORO船が就航し、競争環境が変化しているため、2000年に入ってからの輸送実績を従前と比較することは難しい状況となっている。

 

表4-1-6 東京〜苫小牧貨物フェリー航路の概要

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資料)社団法人日本船主協会資料(「トランスポート2000年6月号」掲載)

 

 

2] 新たな輸送貨物の獲得

(3)に述べたように、超高速フェリーの導入により利用が拡大した代表的貨物として、特積みトラックの混載貨物があげられる。

所要時間を従来の30時間から20時間に短縮し、かつ特積みトラックの幹線運行車のターミナル出発時刻が21〜22時頃となっていることに対応し、出発時刻を23時台、到着時刻を翌日20時台とするダイヤ設定により、首都圏〜北海道間で3日目配送という、陸送の場合と同様のサービス条件を確保しつつ、海上輸送を利用することが可能となっている。このことにより、従来は陸送(一部フェリー利用)や鉄道利用だった特積みトラックの混載貨物の一部が対象航路にシフトし、対象航路の貨物の3割を占めるに至っている。

 

 

 

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