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・本システムでは、運送会社を29社の中から選択できるようになっており、その前提としてタリフの統一が必要となった。特に要望がなければ当社が運送会社を選定するが、実際には貨物追跡システムを持ち、全国的に網羅している6〜7社が選定の対象となり、不満のでないように均等に配分している。複数の運送会社を利用することで、コスト上昇に歯止めをかけようという狙いもある。

・コスト的には、ロットを大きくすることにより、報道にあるとおり20〜30%のコストダウンが実現できる。出店者、特に小規模な業者にとっては、送り状や荷札の作成業務が省力化され、商品開発などに専念できるというメリットが大きい。

 

2] メーカー、小売業者

一方、メーカー、小売業者においては、各社ともネット通販の体制(販売専用サイトの設置など)は整備しているものの、ネット通販による販売量が全体に占める割合は限られており、本格的な販売媒体として位置付けられているとはいえない。各社ともに、業界内の動向を参考にしつつ、本格稼働に向けた検討を進めている段階と考えられる。

東京の大手電機メーカーB社は、特に大型商品についてはネット通販に適していないとの考えを持っている一方で、消費者向けのネット通販拡大に対応できる物流体制の準備は着実に進めている。同社によると、小型の商品については宅配便を活用する余地が大きいものの、大型商品についてはネット通販の普及の程度に応じて、新たな配送体制構築の必要性も生じ得るとしている。

また、宮崎県内の小売業者L社(家具店)においては、ネット通販の販路自体は既に構築したものの、その目的については、あくまで企業イメージアップの手段としての位置づけとなっている。さらに、宮崎県内の小売業者M社(ホームセンター)では、広域的な顧客ニーズに対応するためにネット通販を導入したが、技術指導を含めた対面販売が同社の大きな特徴として定着していることから、当面はネット販売に対する顧客ニーズ動向を見極める状況となっている。

 

【メーカー、小売業者の事例】

■東京の大手電機メーカー(B社)

・メーカー自身がBtoC(個人向配送)に取り組むかという点について、ある電機メーカーでも携帯パソコンの取り扱いが主体であり、大物商品については自分の目で見てから買うという要素が強いのではないか。ただし、ある日突然BtoCが普及する可能性もあり、それに備えた準備だけはしておくという考え方である。大型商品は、据え付け、回収という業務が配送とセットとなっている点が対応を検討する際のポイントである。

・大物商品は宅配便では取り扱えないので、課題として検討中である。

 

■宮崎県内の家具店(L社)

・ネット販売については、自社ホームページ上で実施しているが、月に2〜3件程度である。イメージアップの手段としてやっている側面が強い。

 

■宮崎県内のホームセンター(M社)

・インターネットを利用したホームページ上での販売を今年の5月から開始している。そのきっかけは、国内では当社しか扱っていない輸入品があり、広島からわざわざトラックで買いに来る客がいたことである。顧客の8割は東京、大阪などの大都市圏であるが、当社は技術指導も含めた対面販売に強みがあることもあり、今後どの程度ネット販売が普及するか、今のところ様子見という状況である。

 

 

 

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