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こうした動きの一方で、既にネット通販で取り扱われる商品として適性が認められる品目もみられる。例えば、書籍やパソコンのように、製品の仕様が明確で、消費者が直接手を触れなくても購買選択が可能な品目については、着実にネット通販における販売実績が伸びており、今後も同様の特性を有する品目については、ネット通販による販売が拡大することが期待される。

 

【ネット通販が定着している品目に関する事例】

■大手宅配業者の関連企業(ヤマトブックサービス)

ヤマト運輸の子会社であるヤマトブックサービス社では、インターネットによる書籍の受注が大幅に増加傾向にある。平成11年11月に、書籍データベースからの検索サービスを開始したこともあり、受注が前年同月比で2.5倍に当たる4万7,000冊、平成12年4月の受注は7万9,000冊と急増している。注文形態別においても、電話、はがき、ファックスを上回り最も多い受注冊数となる見通しである。

同社では、電話やはがき、ファックスなどで注文を受け、2,500の出版社の本を宅急便で全国に配送している。サービス開始から今年で15年目になる。複数の出版社の書籍を4〜7日間で宅配。配達料は、冊数に関係なく一律で380円、現金、カードで代金を回収する。

(資料)物流ニッポン(2000年5月26日)

 

■外資系パソコンメーカー(ゲートウェイ)

ゲートウェイでは、日本で販売している全ての商品を、24時間ダイレクトに見積もり、注文ができるPCショップをインターネット上に展開している。

配送については、全ての配送を大手宅配業者に単独委託している。また、首都圏地域に限って、専属スタッフが開梱、配線、基本的なセットアップ作業を代行する有料サービス(9,000円)がある。注文から配送までに要する時間は、同社の製品が受注生産であるため、約2週間かかる。

(資料)日本ゲートウェイ社ホームページ(http://jp.gateway.com/)

 

(2) 物流業者におけるネット販売拡大への取り組み

物流業者においても、ネット販売の拡大に向けた取り組みが展開されている。特に、ネット通販のように多頻度少量の配送が求められる分野は宅配便業者の強みが発揮される分野といえるが、BtoC(個人向け配送)についてはまだ普及途上の段階にあり、新たな対応についても特に想定されていない。むしろ、BtoB(企業間配送)分野の需要拡大、小口化が進展する輸送ニーズへの対応に向けた取り組みが中心となっている。

また、東京に本社を置く大手インターネット業者X社によると、同社の通信販売サイトでは物流に関する手配まで一括して同社が行うので、出店に際して全国配送網の有無やロットの大小による制約がなく、大都市圏への産地直送品をはじめ地方から出店する業者にとっても、効率的に新たな販路を構築できるとしている。

 

 

 

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