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(2) 物流を取り巻く状況の変化

1] スピードリミッター装着の義務づけ

高速道路における大型トラックの事故防止を図るため、大型トラックに対して速度抑制装置(スピードリミッター)装着が義務づけられることとなった。スピードリミッターの上限速度は時速90kmとし、車両総重量8トン以上、または最大積載量5トン以上のトラックが対象となり、新車だけでなく、使用過程車にも適用される。2001年3月には道路運送車両法の保安基準が改正され、使用過程車については一定の猶予期間が設けられるものの、2003年9月にはスピードリミッターの装着が義務づけられる。

スピードリミッター装着が義務づけられ、法定制限速度が遵守されるようになると、宮崎県の主要産品である農産物の出荷や特積みトラックの幹線輸送に対して、大きな影響を及ぼすことが想定される。特に、農産品の出荷においては、複数の卸売市場向けの貨物を積み合わせている場合が多く、輸送時間面でぎりぎりの厳しい条件の中で輸送しているため、スピードリミッターの装着義務づけにより、現行翌々日(3日目)販売となっている関東方面への出荷に大きな制約が生じることが予想される。

 

2] ディーゼル車規制の実施

東京都は、1999年8月よりディーゼル車NO作戦を開始し、2000年12月には一定の基準を満たさないディーゼル車の運行禁止を含む条例改正を行った。条例では、2003年度より、新車登録から7年以上経過した車両を対象として、ディーゼル微粒子除去装置(DPF)を装着しないディーゼル車の運行を禁止するとしている。

埼玉県も東京都に準じた規制案を取りまとめたほか、首都圏や近畿の6府県市(大阪府、京都府、兵庫県と大阪、京都、神戸の3政令市)や長野県等でも、ディーゼル車規制を検討しており、これらが実施されれば、大都市圏とのトラック輸送に対して大きな影響を及ぼすものと考えられる。

 

3] 海上輸送の規制緩和

2000年10月、旅客船事業にかかる規制緩和に伴い、フェリーにかかる需給調整規制が廃止され、内航海運も含めた海上貨物輸送は自由競争時代に突入した。

こうした状況にあって、赤字航路においては分社化によるコスト削減や優遇措置の適用により、航路の維持存続を図る動きがある一方、大分〜横須賀間を20時間(午前1時出港、午後9時入港)で結び、大型トラック約260台積載可能なフェリー航路が2002年4月より開設される予定であるなど、需要拡大の見込まれる航路においては、大型船を積極的に投入する動きがある。

 

 

 

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