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2. 荷主企業および物流業者における物流効率化の実態と物流を取り巻く状況の変化

 

民間企業における物流効率化に向けた取り組みや、環境、安全等の観点に立った物流を取り巻く状況の変化が進展しつつあり、宮崎県において海上輸送網を活用した物流効率化を進める際には、これらの動向を確実に捉えていくことが重要である。

 

(1) 荷主企業における物流効率化への取り組み

1] メーカーにおける物流共同化や直送化の推進

家電製品、加工食品、日用品等の各メーカーにおいては、本業における競争の激化に対応するため、物流分野においては、同業他社間であっても配送を共同化するなど、効率化を進める動きが進展している。

また、在庫・配送コスト削減等の観点から、大都市圏から南九州への直送化を含む、工場から小売店・卸売業者の物流拠点への直送化を進める動きは、一部の家電製品・加工食品・日用品・衣料品メーカーで始められている。翌日定時配送を可能とするため、南九州への配送は、今後も、福岡周辺を中心に設置されている九州全域をカバーする物流拠点を経由する方向にあるものの、特売品やコンスタントに量の捌ける定番品等については、南九州においても直送化の進展が予想される。

 

2] 小売業における物流網の再構築

多数の店舗を展開するスーパー等の小売業では、卸売業者やメーカーから各店舗への配送を廃止し、自社物流拠点に一括搬入を受け、そこで店舗別に仕分けを行い各種商品を一括納品することで、各店舗の荷受けの負担を軽減するとともに、在庫管理を中心とした物流管理を強化しようという動きが活発化している。物流拠点においては、卸売業者やメーカーの在庫として商品を保管することで在庫コストを削減する一方、物流拠点の運営は3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)業者に一括してアウトソーシングするなど、物流効率化の実現に向けて大胆な取り組みを断行している。

こうした小売業の物流拠点は、メーカーの物流拠点よりきめ細かく立地展開する必要から、南九州においても立地が一部進展しつつあり、また、卸売業においても、その存亡をかけて、大手小売業の外注先として物流拠点運営を行ったり、主に中小小売業を対象として独自に物流拠点を設置するなどの取り組みが活発化している。

 

3] 求貨・求車情報システムの普及

トラック輸送の効率化を図るため、インターネット等の情報ネットワークを活用してトラックの求貨情報と貨物の求車情報をマッチングさせる「求貨・求車情報システム」の事業化が相次いでいる。

これらには、その母体となる業種の違いにより、トラック事業者が中心となるもの(求貨情報からのアプローチ)、荷主の物流子会社が中心となるもの(求車情報からのアプローチ)、商社が中心となるもの(3PL的な立場からのアプローチ)等があるが、1日数百件の求貨・求車情報を取り扱い、事業として成立しているものもある。

 

 

 

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