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(3) 朝倉町の観光レクリエーション振興の可能性

 

近年の観光・レクリエションニーズの動向、都市生活者の自然に対する欲求や体験・参加型レクリエーションの高まりをみると本町でも、こうしたニーズを受け止められる資源が多いことに気づく。

先ず、人の手が入っていない自然、農業により守られた緑、地形に埋もれた歴史的な遺産等、都市生活者、特に福岡都市圏の生活者にとり、魅力的な環境を提供できると考えられる。加えて、単に自然が残っているのではなく、こうした自然が町の様々な生業と結びついて残っていることが非常に重要である。

すなわち、本町の自然や遺跡等は単に見せるためにそこにあるのでなく、それぞれが暮らしや生業(産業)と密接に結びつき、しかも水車群のように今も実働していたり、あるいは生活空間の中に柵に囲われることなく佇んでいるところに意味がある。

町自体に20万人近くの来訪者がいること、また周辺には100万人近くの来訪者がいること、それらの多くが足元の地域から訪れている。特に、時間にして1時間以内に住む福岡都市圏の生活者は、都会では味わえない自然や自然と暮らしが一体となった場所を求めて、自然の豊かなこの地域に足を運んでいると考えられる。都市生活者は、単にそこにあるものを見るだけでなく、地域資源が暮らしや生業と一体となった環境で、様々な体験や学ぶ機会を求めている。まさに朝倉町はこうしたニーズを受け止めていけるだけの資源が整っていると考えられる。

 

(4) 全国展開している大手旅行代理店の商品企画担当者へのインタビュー記録

1] 観光市場の動向

○かつてのように1000人規模で動し得る企画は、旬であり高額な味覚(松茸など)の食べ放題が絡むものになってきている。しかし、これもだんだん集客ができなくなっている。最早「食」でも人を集められなくなってきている。大量集客できるとしたら、イベントがらみ。

○消費者の細かいニーズをひとつひとつ摘み取れるような企画が最近大切になってきている。よって、一観光地あるいは一都市では無理で、周辺も含めた広域的な観光企画となりつつある。

 

2] 今後の観光市場での注目点

○2002年から導入される総合学習制度に着目している。環境学習、体験学習などがこの制度の中で実践されていくわけだが、これが今後の目玉。

○こうした教育の現場では地元において、自然体験活動などを子供に教えられる指導者が必要である。今教育庁では、初級の自然体験活動リーダーの講習等により指導者の育成を始めている。ここで所定のコースを収め、指導者としての資格をとり、町には数人のリーダーが居るということを市場にアピールすることも重要ではないか。

 

 

 

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