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2] 学習などの社会性余暇に対する関心の高まり

一方、単に名所旧跡を巡るだけの旅行・レクリエーションだけでなく、自由時間を地域社会における自らの貢献や参画にあてようというという気運も高まりつつある。「余暇レジャー白書2000」(財団法人余暇開発センター)によると、最近参加希望率が上昇しているのは、「地域の花や緑を増やす活動をする(11.3%増)」、「美術館等の施設で案内したり説明する(8.1%増)」、「バザーやフリーマーケットに出品したり企画・運営する(7.0%増)」、「植樹や下草刈りなど山林や森を守り育てる活動をする(6.4%増)」であるとしている。「植樹や下草刈りなど山林や森を守り育てる活動をする」は都会では経験できないものであり、周辺地域へこうしたボランティア活動等のために出かけていくという生活者が増えていくことが考えられる。例えば「棚田の保全等に関するオーナー制度」も同じ背景とみなせる。この制度は中山間部の地域振興と交流促進策として取り入れられているが、特に都会近郊での「棚田の保全等に関するオーナー制度」には多くの希望者がいるとされ、先の白書の傾向を裏付けていると考えられる。

また、最近の若年層の犯罪などへの社会的な反省から、学校関係によるこうした体験・ボランティア学習に対する気運が高まっており、2002年より導入される総合学習制度を見据え、多様な体験する、トライする学習プログラムも求められている。すでに学校や地域では、いくつかの導入例も見られている。総合学習制度においては、教育の場は必ずしも学校だけではないことから、今後は地域における指導者の存在と育成が重要となってくる。地域の○○名人やリーダーの存在がそのまま地域の付加価値にも結びついてくる。こうした活動がまちづくりへの関心を高めていくことにもつながってこよう。

 

3] 中高年のウォーキングニーズの高まり

近年、中高年層のウォーキングニーズの高まりは、デパート等において売り場の拡大といった傾向からも読み取れる。ウェアや靴をそろえた中高年層はこれを使うことを求めており、登山、ハイキングなど自然環境の中での歩きに加え、都市内を散策するなどにも展開している。歩くことが健康維持・増進へ結びつくこともあり、時間と金銭的余裕に比較的恵まれた中高年層の心を引きつけている。

こうしたウォーキングニーズに地域差はなく、福岡都市圏においても旅行企画に対する参加率は高いという指摘がある。これに「花・自然」、「季節の味覚」といった付加価値を加えることによって、参加者の満足度が高まっていると地元旅行業者は指摘している。

 

 

 

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