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都心や市街地エリア内にも住宅地域が混在し、住みやすい職住近接型のまちづくりが既に出来ていると言って良いのではないだろうか。

今後とも、少子高齢社会は続いていくことであろう。

この社会に息づく人口の減少、高齢化に伴う商店街の衰退やコミュニティの弱体などの問題を、正面から見据え解決していくことは、非常に重要な課題である。

住宅政策の視点から、年長者と若者が共に楽しく暮らせるまちづくりをいかに進めていくか、これからも追究していく必要があると考えている。

 

最後に、住宅施策事業を所管する建築都市局の職員との論議の中で、特に印象に残った都心居住施策のあり方をめぐる発言について、ここに触れ、報告としたい。

「…大型商業施設の立地、交通の利便性の向上、住み易い生活環境と手ごろな地価、都市基盤の充実など、郊外に移り住む魅力は日に日に拡大して、居住の満足度から見ると、都心と郊外とでは以前ほどの大きな較差はなくなってきている。中心市街地では、非行の温床、公共施設の用途廃止など行政上の新たな課題として取組むべき問題が生じてきている。一方、郊外では居住の進展とともに新たに都市基盤の整備が必要となって、そのための膨大な予算を確保しなければならない。

少ない経費でより大きく、より質の高い行政サービスを提供していく行政施策の有り方としては、昨今の財政の厳しい状況の下、無駄の少ない効率的な行政施策を進めるという観点に立ち、空洞化した都心の居住を進める為の行政による誘導施策の展開ということも重要になってくる。

神戸市で実施されているコンパクトシティ施策や北九州市の公有地における定期借地権制度の拡充、特優賃住宅供給事業など多種多彩な居住政策を駆使し、都心居住の魅力度がアップするような施策を推し進めて行く必要があろう。

都心の居住空間を快適で潤いのあるものとし、賑わいと生活の香りを回復させて行くことは、今後とも重要な政策課題であることは言うまでもない。…」

 

 

 

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