3 今後の課題
ここでは「横浜の都心居住」と言うテーマで、現在進められている住居系の街づくり事業や動向について紹介してきた。横浜の都心居住を検討する際には、「関内・関外地区」、「横浜駅周辺地区」、「みなとみらい21地区」、「新横浜駅周辺地区」などの商業、業務機能が高度に集積している地区(CBD:「狭義の都心」)と、その周辺に位置する戦前からの下町的既成密集市街地(「広義の都心」)とに分けてとらえてきた。
「狭義の都心」については、これまで横浜市の政策として、都心部には業務・商業を誘導していくという大きな方針があり、住宅は従の立場におかれてきた。しかし、地価が下落し、一方で業務・商業の集積の見通しが厳しい中では、今後とも都心部にマンション供給が進むと考えられる。また、市街地再開発事業等において、採算上の理由から、住宅の導入が今後も進むと考えられる。これらの都心部においてどのような居住像を実現していくのか、横浜の個性を生かした魅力ある都心居住として、積極的にビジョンを示して誘導することが必要である。
一方、「広義の都心」については、木造住宅密集地区などにおいて総合的な市街地環境対策を推進していくことが必要である。これらの街づくりの一手法である住環境整備事業は、横浜市では一部地域を対象に実施されている。住み慣れた地域に住み続けたいとするニーズをとらえ、住民主体の街づくり活動を誘導し、効果的に事業展開を図る必要がある。これらのことにより、利便性のよさを生かした「都市型住宅地」としての再整備が可能になると考えられる。
横浜市では、新しい総合計画5カ年計画として、「ゆめはま2010プラン」5か年計画(2002年―2006年)の策定作業に、平成13年1月より着手したところである。21世紀を展望し、成熟社会の都市づくりを進めていくために、横浜の「都心居住」のあり方を検討し、新しい計画に反映していくことが必要と考えられる。