さいごに
本稿では、川崎市の玄関口であるJR川崎駅を中心とした都心地域における都心居住について、「更新型のまちづくり」を進めているJR川崎駅西口地区の事例を中心として紹介してきた。本市で都心居住を考えていく場合には、更新型により、高度利用を図り定住人口の増加を図っていくケースと大規模工場跡地の再開発を行う場合が想定される。更新型の場合には、従前居住者との協議を行いながら進めることが必要であり、開発には多くの時間を要する結果となった。こうした一方で、工場跡地の場合には、開発自体は比較的スムーズに進むものの、地域の産業活力の停滞は否めず、活性化策を講ずることが求められる。いずれのケースについても定住人口の増加には大きく寄与する一方で、都市における産業育成といった視点を持つ必要があり、後者のケースについては特に産業といった側面とセットで論じることが必要であるといえる。
こうしたことで、人が行き交い、職住近接型で活力あるまちの形成が可能にあると考えられる。
こうした状況を踏まえれば、臨海部の再編とともに、都心における都市型産業の育成や中心市街地の活性化を進め、雇用の創出を図り、活力ある都心地域を形成していくことが緊急の課題であるといえ、都市部の活性化を居住(定住)と一体化して捉え、明確な方針を打ち出していくことが求められていくといえよう。