日本財団 図書館


6. 「横浜市における都心居住の現状と課題」

 

横浜市企画局部次長プロジェクト推進担当課長 立花誠

 

1 はじめに

横浜市は、東京都区部に次いで全国第2位の人口を擁する大都市ながら、就業や経済活動の東京への依存、急速な都市化による都市基盤整備の遅れ、郊外部や臨海部の土地利用の変化など都市構造上の課題を抱えている。このため、これらの課題に対応し、首都圏における業務核都市にふさわしい活力ある都市をめざして、都心、副都心、地域拠点の整備によるバランスある都市機能の強化などを推進してきた。

このうち都心については、横浜経済を強化し、自立性を確立するために、「関内・関外地区」、「みなとみらい21地区」、「横浜駅周辺地区」を中心に、業務・商業機能の拡充強化を進めてきている。これまで、都心の街づくりにおいて、住宅については、業務・商業機能を優先してきたため、積極的に導入してきておらず、平成4年3月までは「住居容積率制限」を実施するなど、住宅の抑制策を実施してきた。これは、商業地域(特に都心部)において業務・商業機能の純化を目指し、容積率の指定が高くなるほど、住居部分の容積率を制限するものであった。この「住居容積率制限」の撤廃は、都心部における業務・商業機能の純化の方針を転換したものである。

一方、住宅政策の面でも、住宅マスタープランである「横浜市住宅基本計画」(平成7年5月策定)において、住宅市街地の整備方向として、「中心業務地」、「都心商業地」、「都心周辺複合市街地」などの整備方向が類型別に示されているが、東京都や大阪市で実施されている「都心居住施策」としての明確な方針は確立していない。

このような中で、「ヨコハマポートサイド地区」や「みなとみらい21地区」などの都心臨海部の面的開発地区では、超高層タイプの都心型住宅の建設が進められ、あるいは計画が進められており、また、開港期からの中心地として発展してきた「関内・関外地区」においても、近年マンション建設が活発となっている。

また、これらの地区に隣接する、戦前からの古くからの市街地では、高齢化の進展や中堅層の流出、これに伴う商店街の衰退などの問題を抱えており、魅力ある都市型住宅の供給による人口回復が課題となっている。

今後は、これらの動向や課題を踏まえ、都心部に商業や業務、文化、居住などの機能を一体的に立地誘導し、魅力的で活力ある市街地の形成を図ることが必要となっている。そこで、ここでは、横浜市における現在の都心居住にかかる計画や事業を紹介しつつ、今後の課題についても、触れてみることとする。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION