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25]腐食と腐食疲労の二相境界領域における破損挙動

的場正明(日本海事協会)

船体の寿命を決定づける要因のうち、疲労と腐食は時間を促進した実験が可能であるが、腐食疲労は時間促進が難しく、長時間の実験は行われていない。

海水腐食環境で、波浪による疲労荷重と凪状態での腐食が交互に繰返される実船環境での溶接し端の破損挙動を従来の知見をもとにシミュレーションにより推定した。その結果、上図に示す腐食のみによる溶接し端の溝状腐食に比べ、腐食疲労が介在する場合は下図に示すように溝がやや狭いのみで、外観だけでは腐食に腐食疲労が介在したかどうかは判定し難い。

 

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26]ばら積石炭船倉内の腐食を模擬した希硫酸環境における造船用鋼の腐食および腐食疲労

小林佑規、田中義久、後藤英信、松岡一祥(船研)

ばら積石炭船倉内が酸性腐食環境となる状態を石炭からの滲出液により再現し、浸漬試験、き裂進展試験および切欠き試験片の腐食疲労試験を行った。

石炭滲出液はpH2.5に低下し、その腐食速度は1.6mm/yearとなる。希硫酸環境の腐食疲労試験結果は、海水腐食疲労と比較して検討した。

 

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27]舷側厚板部に設置される座屈防止用カーリングの疲労強度に対する影響について

藤井一申(新来島)、深沢塔一(金沢工大)、萩森保彦(新来島)、内村秀之(新来島)

座屈強度の規定が船級規則に導入されて以来、座屈防止用カーリングを設置する設計手法が、広く行われている。しかしその部位が舷側厚板の場合には、スニップタイプのカーリングは疲労強度上望ましくない事が、チップ船の解析の結果判った。この他端部形状がRタイプ、ラグタイプの場合、増厚した場合を検討したが、目違いに対する配慮は必要となるものの、疲労強度上最も望ましいのは、ラグタイプであった。

 

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28]座屈により大きな圧縮歪を受けた鋼構造部材の亀裂強度に関する研究(その3)

山本元道(広島大学)、栗原正好(NKK)、束田幸四郎(元NKK)、矢島浩(広島大学)

鋼構造部材が座屈崩壊した後、引き続き大きな圧縮・引張の繰り返し荷重を受けると、座屈撓みの内側(圧縮側)から容易に亀裂が発生・進展し、局部構造部材の座屈崩壊が大破壊の引き金となる場合がある。本研究では、平滑・隅肉溶接試験片を用いた亀裂発生試験ならびにFEM解析を実施し、鋼構造部材の座屈崩壊後の繰り返し曲げ荷重下での亀裂強度に関して定量的な評価を試みた。

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平滑試験片ならびにスチフナ隅肉溶接止端部での亀裂発生・破断強度

 

 

 

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