日本財団 図書館


9]高速滑走艇の発進加速性能について

片山徹、池田良穂(大阪府立大学)

高速滑走艇の発進加速時性能を予測するため、前進加速時に船体に働く流体力の計測を行うと共に、流体力に実験値と理論計算値を用いたシミュレーションプログラムの開発を行った。同シミュレーションの結果は、模型実験の結果と良い一致を示し、本プログラムが加速時運動性能を知る上で、有効であることが確認された。また、発進加速時に発生する上下揺れと縦揺れの連成運動も確認され、それが定常時のポーポイジングとは異なるメカニズムで起こることを明らかにした。

 

003-1.gif

上下揺れシミュレーション結果condition Gでは定常時ポーポイジングおよび発進ポーポイジングが発生。

 

10]飛行艇の波浪中離着水性能水槽試験(その1)

―飛行ガイドシステムの開発―

平山次清、宮川清、高山武彦(横浜国大)、森中昭宏(横浜国大大学院)

かって飛行艇は、広大な海面を滑走路として使用できる利点から、大いに利用された時代もあった。しかし現在では救難用の一部のものを除いて殆ど見られない。船でもあり飛行機でもあると言う性格の2重性が理由の様である。しかしながら、広大な海洋を周囲に有する我が国にとって、飛行艇を改めて見直し耐波性に優れたものを開発する事も意義あるものと思われる。そのような観点から、過去に例が無い、「飛行艇モデルの波浪中離着水飛行実験」が可能な飛行ガイドシステムを開発し、一部水槽実験も実施した。

 

003-2.gif

過渡水波中曳航浮上実験(速度5.5m/sec)

 

11]自由落下式救命艇の着水後の挙動に対する船型及び落下初期条件の影響

荒井誠、上村伸一(横浜国大)、原野勝博、橋爪豊(船研)

異なる船型をもつ2隻の自由落下式救命艇についての模型実験と数値シミュレーションを行い、救命艇の船型や落下条件(落下高さ、滑台傾斜角など)と着水時の衝撃加速度や運動との関係を調べた。船首を鋭い形状とすることにより、着水衝撃を低く抑えるだけでなく着水後の運動を改善できることが分かった。また、艇の重心より後方のガイドレール長さが着水時の挙動に大きく関係があることを定量的に明らかにした。

 

003-3.gif

船型の異なる自由落下式救命艇の着水運動の比較

 

12]ハイブリッド式舶用減揺装置の実船への適用

小池裕二、佐伯愛一郎、牟田口勝生、今関正典、宮部宏彰、山下誠也(IHI)

船体の横揺れを低減するため、能動型の減揺装置を開発し、海洋地球研究船「みらい」(8672総トン)に適用した。本装置は、円弧レール上を揺動する可動マス(100トン)に、モータ制御を加えたハイブリッド方式である。装置による強制動揺試験の同定結果をもとに制御系設計を行い、その後の実海域での稼動記録から減揺効果および装置の動的挙動を解析した。その結果、装置は制御則通りに作動し、所期の性能を発揮していることを実証した。

 

003-4.gif

船体の横揺れの時刻歴応答

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION