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13]重力流の先端部の3次元不安定性

馬場信弘(大阪府大)、阪口泰規(大阪府大大学院)、伊藤聡美(大阪府大)

長方形断面の開水路内を進行する重力流について染料による可視化実験とナビエ・ストークス方程式の有限体積解に基づいた3次元計算を行い、重力流の先端部の3次元不安定性について調べた。水門開放後、先端部は下図のように横方向に波打ち、3次元的に変形する。スケールの異なる流塊の山が重なり合った構造が支配的となり、個々の山が四方に崩れ落ちることによって複数の円弧状の先端が形成される。流れの3次元性は先端部およびその背後の密度界面を通した混合過程に寄与し、先端速度にも影響を与えることが明らかになった。

 

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重力流の先端部の3次元性

(a) 染料による先端部の可視化 (b) 計算による密度の等値線図

 

14]海洋中層におけるCO2液滴プルームの数値シミュレーション

波磨輝実、佐藤徹(東京大学)

海洋中層のLCO2群の挙動を示すシミュレーション法を開発した。このコードの特徴は、ドリフト速度として液滴終端速度を導入した点、液滴の周囲の水への溶け出しを考慮した点である。この方法を塩分成層中における気泡プルームの挙動について適用し、本法が妥当であることを検証した。また海洋中層でのLCO2群のシミュレーションでは液滴の鉛直方向到達距離やCO2が溶解した海水の挙動について既知の見地とは異なる結果を示した。

 

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Contour maps of CO2 concentration.

 

15]船体形状の記述と性能評価に関する研究(第3報)

―自航要素に対する船体形状の影響―

荒井加容子(大阪府大)、岩崎泰典(川崎重工)、細田龍介(大阪府大)

性能設計段階の支援および熟練設計者の高度な設計技術の伝承のために、熟練設計者の知識として蓄積されてきた船体後半部形状の微妙な変形に伴う自航要素(1-w)の変化を、肋骨線形状と性能とを直接結びつけて量的に把握・評価することを目的とする。その結果、微小な肋骨線の変化による(1-w)の変化をフーリエ記述子(FD:{an})と関連づけて説明できること、船型改良の一部である「U型」化をFDを介して把握・評価することが可能であることを明らかにした。

 

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肋骨線形状の系統的な変化に対する1-wとFDの関係

 

16]可変適応ゲイン方式MRACSオートパイロットの研究

山田秀光(トキメック)、長谷川和彦(大阪大学)

モデル規範型適応制御理論を船舶用オートパイロットに適応した場合の問題点として、非線形な操縦特性、船速変動、外乱等の影響により、安定な動作を実現することが困難なことが挙げられる。本研究では船速変動に対し無次元化適応則を求め、有次元適応則との関係を明確にし、その有効性を示した。また、可変適応ゲイン方式の導入により、自動保針時にも安定な適応動作が可能なことを示すと同時に針路不安定船に適用した場合の問題点を明らかにした。

 

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