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1] この小論を作成するにあたり、学識の深い畏友たちとの共同研究に触発されることが多かったとくに斯波義信教授(国際キリスト教大学)と高谷好一教授(滋賀県立大学)と、1997年2月と3月に横浜で二回4日間にわたっておこなった鼎談には、負うところが大きい。とはいえ、もちろん、このエッセイに書かれた内容の文責は筆者にあることはいうまでもない。またこの小論中の“世界”という用語は、高谷好一教授の下記の書籍を参照させてもらった。高谷好一(1996):『「世界単位」から世界を見る─地域研究の視座─』京都大学出版会

2]中国やインドについて、あえて“中国的”世界や“インド的”世界と表現したのは、現在の国民国家である中国やインドとは異なるという意味である。これらの用語は、むしろ、それらが文化圏であり、また文明圏を意味している。

3](cf. Embree, John. F.(1950)

“Thailand:A Loosely Structured Social System,”American Anthropologist No.52

 

2-3-8

*サンゴ礁の研究は、海洋科学や生物科学に最も深く関与しているが、そのおよぶ範囲は広く、典型的な広域複雑体事象を対象とし人文・社会科学にも及ぶ広域複合科学と捉えられるものである。

*対象が多岐に亙るので、主題にアプローチするための研究分野は、複合的・学際型となる。

*サンゴ礁研究には、大きく分けて次の二つの方向がある。

ア─1原理探究型

─2問題解決型

*一方、別の切り口を立ててみれば、次の二つの側面と捉えることもできる。

イ─1現在形としての事象解明

─2地史型の事象解明

*ア─1、2、イ─1、2のマトリックスとして、多くの関連分野をかかえそれらが有機的に機能しながら研究が進められてゆく。

*Charles Darwinは、生物学者としての定評を得ているが、彼の設定テーマは明らかにア─1からイ─2までの全てを含んでいて、複合自然誌学者の先駆者と見ることができる。

 

 

 

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