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3. 海外での海洋教育での立体目次製作に関する考察

1) 科目名の付け方に関して

海外の教育機関では、科目名に授業内容の具体的な内容を書く場合が多く、日本の教育機関ではカリキュラムの流れを重視し(例えば地学I、IIのように階層構造になっていることが多い)、また、どちらかというと大きい枠組みで科目名を与え、実際の内容は教師に一任される(例えば地学という科目名で、実際は海底火山に特化した内容である)ことが多いと感じた。そのため、日本語訳を当てても日本の授業科目との比較は困難であった。

2) 科目の配置に関して

今回の分析はあくまで分野整理学における可視化手法の事例研究であり、科目の分類や象限の配置には実際に作業する人物の考えが大きく反映されている。よって象限間の項目数に差が生じたとしてもそれはあくまで作業者の考えであり、一般的なものではない。しかし、そのことを理解しないまま見た場合、今回の海外の海洋教育グローブを海外の海洋教育の現状と捉えてしまう危険性がある。また、科目名の配置に関しては乱数を使いなるべく散らばり、見やすいように配置したため実際の位置に意味を持たない。しかし、見る者によっては項目の位置に何らかの意味を見出そうとしがちであろう。立体目次作成にあたり、このような前提によることを正確に丁寧に説明することが大切だと考える。

 

4. 海外での海洋教育の特性

ハワイ大学を中心として本調査において特徴的なのは、ハワイ大学であった。ハワイ大学海洋学部においては、大洋性の火山島に立地するという特色を活かした教育が行われている。海洋を海水のみと捉えるのではなく、火山島の地質学、地球物理学との視点から固体地球科学、惑星科学からみた多様な時空間スケールの海洋のダイナミズムを教えている。こういった地域性を重視した教育体制は注目すべき点であろう。

また、科目名も、専門性への導入として学生の興味を持ち始めの初期段階に対応した工夫がなされている(例:Voyage through the Solar System)。

 

5. 海外との比較における日本の海洋教育への提案

1]地域性を活かす。日本の国土は南北に広がり、多様な環境を持っている。その利点をもっと活用し、かつ地域の海を海洋のみでない視点で捉えた、各教育機関独自の教育プログラムが必要であろう。

 

 

 

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