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2. 海洋生物のCGデータベース

現在、海洋生物のCGは教育・研究からエンターテイメントまで幅広く利用されている。

しかしながら、様々な機関やプロジェクトでその度CG制作を行っており、そこで作成された海洋生物のCGモデルデータが一カ所に貯えられて、それを自由に利用できる環境が整備されていないのが現状である。このような中、沖縄において‘沖縄の魚100種’のCGモデルデータがデータベース化され様々な分野で利用していこうとする先進的な試みが始まった。以下に、そのプロジェクトを報告する。

・沖縄デジタルメディアセンター構想

1997年5月、沖縄在住の稲泉氏を中心としたRita(琉球インフォメーションテクノロジーアソシエーション)によって、著者が招待され講演会が開催された。ここでの著者の講演のテーマは、沖縄にマルチメディア産業をいかに立ち上げるかを提案した‘沖縄デジタルメディアセンター構想’である。

本構想は、沖縄県産業振興公社がCG制作のための機材と設備を備えた、‘デジタルメディアセンター(DMC)’を設立し、同時にこの施設を利用してCG制作を行うCGプロダクション‘デジタルメディアファクトリー(DMF)’を創立するものである。これまで多くの自治体が数億円を超える投資をし、産業振興のためのマルチメディアセンターを設立してきたが、マルチメディア産業が興ることなく高価な機材が有効利用されないまま陳腐化してしまうのが現状である。本構想では箱物(デジタルメディアセンター)を用意するだけでなく、それを利用して事業を立ち上げるための現実的なビジネススキームの提案に重点を置いた。その第一は、株式会社として利益を追求するDMF(代表取締役稲泉誠氏)を設立したことである。DMFは、国内で最も先進的なCG制作技術を有する(株)ビジュアルサイエンス研究所(VSL)と沖縄県の有力企業の協力・出資の元で1998年10月に設立された。VSLが技術支援をすることにより、極めて短期間で世界に通用するCG制作部隊を沖縄に創ることができた。

第二には、ビジネスの柱を受注制作ではなく自主制作に重点を置きそこで制作されたCGコンテンツを世界に販売・配給する情報発信型のコンテンツビジネスを目指したことである。沖縄では地域的な障害(距離)があり、東京からCG制作の仕事を受注することは極めて困難である。

 

 

 

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