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また、下請けの仕事をどんなにこなしても大きな収益を生むことはできない。しかしながら、著作権を保有するコンテンツの販売や2次利用による版権ビジネスを展開することにより、周辺ビジネスの拡がりも含めて収益性の高いマルチメディア産業を起こせる可能性が大である。そこで、図1にも示すように、行政として単に箱を創るための投資をするだけでなく、コンテンツ制作のための投資を積極的に行うスキームを構築した。DMFを始め、沖縄のコンテンツ制作会社は、DMCの機材・設備を有料(制作費の15%)で利用すると供に、十分な収益を確保できるコンテンツに対しては、行政が投資しコンテンツの販売による利益の50%をロイヤリティとして徴収するシステムとした。これらの収入(施設利用料、ロイヤルティ)によって、DMCの運営と更なる投資を可能にし、これらが循環・拡大してマルチメディア産業を振興する仕組みができた。

第三には、コンテンツ制作のテーマとして、最も沖縄の付加価値として挙げられる海をテーマにしたことである。世紀の変わり目である2000年、2001年を向かえるに当たって、世界中でミレニアムイベントが開催される。近代イベントでは、映像が主流であり、しかも21世紀は人類共通の‘地球環境’がテーマとなる。このため、海の映像への需要は爆発する。これに応えるために、DMFは海をテーマにしたCG映像を制作する世界初のCGプロダクションとしてスタートすることになった。そこで行政が最初にコンテンツ制作投資を行ったのが‘沖縄の魚100種’のCGデータベース制作である。

・‘沖縄の魚100種’CGデータベース

沖縄の魚CGモデルデータの名称及びCG画像を表1及び写真1に示す。これらのデータは、http:www.dmf.co.jpに登録され、下記の価格でデータの販売が開始されている。

 

3. ‘沖縄の魚100種’CGデータベースの活用

データベースの活用には、前述したように、CGモデルデータを販売して直接的に利用してもらうことができる。これまで海洋生物のCGは、様々な機関やプロジェクトで制作されてきたが、その度、0から制作し多くの時間とコストをかけてきた。しかも、制作されたCGモデルデータは、他で二度と使用されることなく、そのデータ資産は無駄になっていた。ところが、この世界初の海洋生物のCGデータベースが構築され、誰もが自由に格安で利用できることにより、教育・研究からエンターテイメントまで幅広い分野で海洋生物のCG利用が促進されるであろう。

 

 

 

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