日本財団 図書館


2-3-10 海洋生物のCGデーターベースとその活用法

 

1. CGモデルデータ

昨今、コンピュータグラフィックス(CG)が様々な分野で盛んに利用されている。CGは、米国で軍事や航空機のシミュレータとして産業利用されたのが最初で、現在は産業分野からエンターテイメントの分野まで幅広く利用されている。特に、ハリウッド映画のスペシャルエフェクトとして、本物と見分けがつかないような超リアルなCG表現を実現している。

日本ではTVのCFや番組タイトル、景観シミュレーション等で積極的に利用され、その後、日本が世界に誇るTVゲームでのCG利用が爆発的に拡大した。このように、CGの需要が増大してくると、これまで全てがオーダーメイドであったCGでは時間とコストを要するため、データの2次利用による省力化が検討され始めた。CG制作ではコンピュータの仮想空間上に、多角形や曲面を組み合わせて3次元で対象物を表現する形状データを創ることから始まる。この形状データにあたかも張りぼてを創るように、色や模様等の材質データ(テクスチャー)を貼り付けてリアルな質感までを表現するテクスチャーマッピングを行う。このようにして、対象物がCGでモデル化され、これに動きを付けカメラや照明の設定をしてCGアニメーションができあがる。

以上の形状データとテクスチャーデータを合わせて一般的にCGモデルデータと呼ばれる。このCGモデルデータは、建築分野で景観シミュレーションによるケーススタディを合理的に行うためにデータベース化が積極的に行われた。例えば、建築物の壁面材料や内装用のタイル、壁紙、板材の色や模様、表面の質感(滑らかさ)のテクスチャーをデータベース化する。これを選択して対象とする建築物の形状データにテクスチャーマッピングし、外装材や内装材の様々なシミュレーションを簡易に行うことができ、建築設計の質的向上と省力化を図ることができる。形状データでは、建築設計に使用される代表的な植裁用の樹木がデータベース化され、販売されている。このデータベースでは、樹齢もパラメータとして用意されており、樹木を配置した景観シミュレーションにおいて、植裁してから何年後かの景観までもCGでビジュアル化できるのである。

もし、データベースが用意されていないと、景観シミュレーションのためにCGで樹木をその度制作するため、膨大な時間とコストを要し十分なケーススタディを行うことは難しい。従って、CGモデルデータは何度でも利用される機会があり、その対象物が時代と供に変わらない基礎データとなり得るものであれば、データベース化することにより飛躍的な省力化が図られ、しかも多くの利用機会が生まれると言えよう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION