日本財団 図書館


ある地点で言えば、その地点が陸上になったり湖水になったり、その湖水も海洋と隔たった湖であったり、海水が出入りする湖であったりという環境の変化が、その地点として編めるのである。

 

2. 堆積物からの古環境の推定

多くの堆積物は水によって運ばれる。浸食されたものが河川を通って海や湖へ運搬されるのだが、その時いろいろな物理的作用を受ける。まず、侵食作用であるが、これは河川水が川底や河岸を削ることを考える人が多いが、実際にはその量は大変小さく、浸食作用としての営力の大部分は地すべり、山くずれ、落石等の自然災害に連がる現象により侵食されるものである。これらが運搬されていくのだが、運搬営力についても、平常時に運搬されるのは細粒子のもののみでその量は限られているが、洪水時に運搬されるものはより粗粒のものまで、また大量に運搬される。さらに、土石流として運搬されると平常時には想像できないような巨礫さえ運搬してしまう力を持っている。当然これらの違いにより、堆積物の粒度、円磨度、堆積構造は異なってくる。

河川環境を推定できる方法をあげてみると、インブリケート構造がある。これは、現在の地形と全く異なった地形を示していた時代の堆積物が、どこからどのような川で運搬されてきたかを推定するものである。

インブリケート構造とは、河川のような一方向の流れによって堆積する礫は、一方向に並んで堆積するという性質のことで、これにより古水流の方向がわかる。ただし、ある1ヶ所のインブリケーションからの古水流の方向は、その地点での古水流の方向を示してはいるが、河川そのものの方向を示しているとは言えない。それは、河川は蛇行することが多いので、たまたま蛇行部分だとすると、河川の大きな方向とは異なる方向を示すことになるからである。よって、多くの地点での資料を集めないといけないし、多くの地点での礫種、礫経、円磨度などのデータを総合して判断しなければならない。

 

086-1.gif

インブリケート構造(覆瓦構造)

ibricate structure

礫が水の流れの方向に従い一定方向に並ぶ。矢印は流れの方向を示す。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION