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しかし、その内容は概ね大気、陸水に絡む環境問題、環境保全に集約され、海水に関るものは皆無であった。

なお、この時期から中学校理科は週あたり3時間に減り、高校理科は必修の理科I(4単位)、選択の理科II(2単位)、物理(4単位)、化学(4単位)、生物(4単位)、地学(4単位)となり、実質的にはそれ以前の理科に比べて中、高ともに弱体化したといわれている。

 

5. 現行の理科(中:1993〜2002年、高:1994〜2002年の予定)

中学校理科は身近かな自然の事象を直接体験させることに主眼が置かれているが、海に関する内容は学習指導要領の中に位置づけられていない。指導要領作成協力者の中から海に関する内容を扱うべきとする提言があったが、その採否の検討はなされなかった。

高校理科では、地学IAで「海水中と海底の資源」、「海流と気候(エルニーニョなど)」が、また、地学IBでは「海水の性質とその運動」、「海洋底の動き」を扱っているが、この2科目の選択者を合計しても同学年の高校生の10数パーセントでしかない。もちろん、理科の他の科目(総合理科、物理IA、物理IB、物理II、化学IA、化学IB、化学II、生物IA、生物IB、生物II、地学II)では、海洋教材は扱われていない。

 

6. 次期学習指導要領に基づく学習指導では(2003年〜)

1997年11月17日に、教育課程審議会による「教育課程の基準の改善の基本方向について」の中間まとめが文部大臣に答申された。これは、従来の教育課程審議会の中間答申とは本質的に異なり、各教科の授業時間数の枠、内容項目の厳選を具体的に明示している。それは、2002年の4月から小・中・高一斉に週5日制に取り組ますための手段とされている。

このあと、学習指導要領が作成され、1998年の10月には、小・中・高の次期学習指導要領が同時に告示される予定である。しかし、その内容構成の大枠は上述の答申に示されており、それをもとに海洋教材を入り込ます方策を考えてみた。

先ず、中学校では、1、2学年の理科の内容として入り込める余地は全く無い。しかし、第3学年の理科は学習指導要領として示される内容項目が少なく、学校で自由に裁量できる課題研究や「人間生活と科学との関係」と称する補足的な項目が設定されるようであるから、これを活用すれば、数時間分の海洋教材を入れ込むことはできる。

 

 

 

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