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式(1)および(2)によると、1994年のエネルギー消費量のGNP弾性値(GNP1単位の増加に対するエネルギー消費量の増加率)は0.8、すなわち約1である。したがって、世界人口が一定でも国民1人当たりのGNPが上昇すると、それに比例してエネルギー資源の消費量も増える。

次に、ここまでは定義をせずに使ってきた「資源」という語の意味を考えてみる。「資源」のつく用語としては、「食糧資源」「森林資源」「漁業資源」「鉱物資源」「燃料(エネルギー)資源」などがある。さらに、「人的資源」「経済資源」などという語もある。これらの語で使われている「資源」に共通する概念は何か。我々人類は、その生活を維持するために多くの資源を利用している。最も基本的な資源は、生物としての生存に不可欠な水および食糧資源である。人類が文明化するにつれて、他の燃料資源や鉱物資源も利用されるようになってきた。燃料資源は、草木という現生生物資源から、石炭・石油という化石燃料資源に移行していった。鉱物資源は、石材という土石資源から銅・鉄という金属資源へ利用の範囲が拡大した。さらに、人類の活動が活発になるにつれて、人的資源や経済資源という概念が重要となっていた。これらの「資源」に共通する概念は、それらが何らかのプロセスに投入されて、そこから出てくる出力が人間にとって重要であるということである。例えば、食糧資源は、それを自分自身の体内に投入することによって、人は生命を保っている。鉱物や燃料資源は、製造工程に投入されて、生活を快適にする製品が生まれる。この生産をより効率よく行うためには、人的資源や経済資源が効率よく工程に投入されていなければならない。ここで重要なことは、資源はそれ自体を得ることが目的とはならず、目的を達成するのに必要は物質であるということである。したがって、資源は代替物があればそれを使えるし、またそれを取得するためにはなるべく余分な資源を消費しない方がよい。そこで、必要な資源を確保するときは、通常それが集まっている場所から取得するほど効率がよい。田や畑は、人工的に食糧資源を集めた場所を指す。海洋の物理化学的条件により魚等が集まっている場合、そこを漁場という。鉱物や化石燃料資源が集まっている場所は、鉱床と呼ばれる。金属資源の場合、採掘対象とされる元素は地殻存在度(地殻を構成する岩石の平均化学組成)に較べて10〜10000倍濃集している。ちなみに、都会は人的資源が濃集している場所といえる。資源、特に天然資源を考える場合、この「濃集している場所」という概念が必要である。

地球表面は、水圏である海洋と岩石圏である大陸に分けられると前述した。ところで、水圏の下には岩石圏が存在する。この岩石圏のみに注目したとき、やはり海洋と大陸を分けることができる。岩石圏表面の高さの頻度分布は二峰性を示し、頻度の極小が海抜で1500m付近に現れる。

 

 

 

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