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患者とのコミュニケーションは病室の入り口から始まっている。言動、表情で人を癒したり落ち込ませたりする。プロであれば自分がどんなに悲しい心の状態であっても笑顔で接することができる感性を磨くことである。これはとても大切なことであると考える。

傾聴、共感、感性がいかに相手の気持ちに影響するか、一歩踏み込んだコミュニケーションの学びの必要性を改めて学んだ。

 

5) 霊的な援助(Spiritual Care)

脇本先生の講義で、プレスタイムにより実際自分ががんになり、余命何日と言われた時の動揺は、今まで想像していなかった。死生観がはっきりしてきた。患者さんの死という最期の場面に出会えることに「ありがとうございます」という気持ちが勇いてきた。

恒藤先生の講義で、Cassidy Sのホスピスケアの神髄という図を紹介され、「右下の絵は、患者も援助者もお互い裸同士になり、手には何も持たず、援助者の与えることのできるものは自分自身であることを示している。ホスピスケアでは、このように知識や技術を言うのでなく、病気を持ち悩み苦しんでいる人への全人的な関わりが要求される」と講義を受けた。緩和ケアにおける豊かな人間性と、個人としての死生観を持っていなければ患者と真の向き合いはできないと痛感した。そして、患者のいのちを見いだすコミュニケーションを深めることの大切さをなお一層強めた。

終末期ケアの看護婦の姿勢として

1. 一人の人間として向き合う

2. 患者に寄り添い患者の世界を認め理解すること

3. 患者の可能性を信じること

4. 倫理面への配慮

田村先生の理論であるが、共感し、奮い立つものを感じる。

 

研修を終えて

 

講義、実習の6週間の研修を終え、緩和ケアについての多くの学びを得ることができ感謝の気持ちで一杯である。緩和ケアこそ「看護の原点」という感じを強めた。

全国の大学病院で緩和ケア病棟を有している病院は少なく、最新医療の提供をする大学病院においてこそ緩和ケア病棟が必要であると考えた。

実習病院と他一か所の緩和ケア病棟の見学は、平成14年に開設予定であるリエゾン病棟開設時の良い参考になる。

ホスピスの語源は「あたたかいもてなし」である。一般病棟においてもこの言葉は生きている。今後この言葉を合い言葉にし、余裕を持った看護の提供をし、患者・家族から「この病院に入院して大事にしてもらった。よかった」と評価をしていただき、スタッフと喜びを分かち合えるよう努力する。

 

 

 

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