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山形医師より、WHO方式疼痛治療指針(3段階式がん鎮痛治療ラダー)を使用し段階に応じた鎮痛剤、鎮痛補助剤を使用する、疼痛コントロールの原則、疼痛のメカニズムと同時に、患者の痛みに対する共感、理解など精神科的ケアも必要であることを学んだ。

患者が痛みをどのように認知しているかマネジメントする。その際、どのような要因が影響を及ぼしているか、痛みの部位、強さ、性質、頻度を患者の反応も合わせて観察する看護者は、これらのデータをもとにアセスメントする。この一連の行為を通して患者の体験に共感し理解しようとするのである。看護婦はチームの要となり主治医にアプローチをする。症状マネジメント用紙により患者と共に行う疼痛コントロールを学んだ。アセスメントする際、患者の言っていること、事実を丁寧に見ていくことである。事実なく判断したり、観念で動かないことである。必ず患者に確認しながらマネジメントする姿勢が求められる。メカニズムを理解している患者は方略、方法を考えてくると講義を受けた。いい方法だと思うが、アセスメントを間違うと全く違った方向にいく恐れがある。この方法をスタッフへすぐ提唱すると混乱を招く恐れがあるので、私自身がまず使ってみて消化し広めてみようと思う。

症状マネジメントの主役は患者である。症状が緩和されることが患者のQOLに大きく影響する。

 

3) 日常生活への援助

看護の視点から日常生活への援助が重要である。患者のQOLを向上させるためには、患者のこれまでの生活習慣を尊重し、維持できるようにケアしていくことが基本である。しかし現実には、病状の悪化に伴いセルフケア能力は低下し、不足した状態となる。そこで、看護婦は個々に適した安楽を提供できるようケア内容を工夫したり、患者が「今どうありたいのか」希望を聞いて看護婦の立場でリハビリへアプローチをしたりする。

その場合、動けないから動かすというのでなく、患者本人が「残された人生をどう生きるか」に焦点をあてるべきであると学んだ。今まで患者の周りで「こうなってほしい、こうしてあげよう」という気持ちでリハビリを進め、できないからといって患者の意欲がないと患者のせいにして評価してきたと反省した。

 

4) コミュニケーションによる精神・心理的援助

精神状態を絶えず観察し、時々精神科的アプローチが必要な場合もある。そのために、看護者はコミュニケーションにより患者の心を開き、癒すという技能を身につけておくことも不可欠である。

治療的コミュニケーション理論で学んだことを以下に記す。

1. 聞くこと:傾聴的態度でその場に共にいる。

2. オープンな出だし、幅のある出だしをする:「今何を話しましょうか」「何について話しましょうか」と患者が自分の話題を提供できる雰囲気とすること。

3. 反復・要点を繰り返す。

4. 内容の解明:「あなたの言おうとすることはわからないけど、それはこういう意味ですか」

5. 反映:患者の基本的な考えを看護者の簡単明瞭な言葉に言いかえる。

6. 感情の反映:「良かったですね〜。嬉しかったですね〜」

7. 焦点化:「そこのところをもうちょっと話してみてくださいませんか」

8. 知覚的認識の相互確認:気持ちや考えを確かめる。

9. 沈黙:沈黙が続いても耐えることである。

10. ユーモアのある会話

11. 情報提供:患者の知りたいことの事実を告げる。

12. 示唆:アイデアの提示。患者が受け入れるかどうかは別である。

 

 

 

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