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親しい人や恋しい人がいっぱい行ってるでしょう。だからあの世に行けばあの人に会える、と思っていてもどのくらい広いところかわからない。親しい人達がみんなでパーッと迎えにきてくれて、その晩は歓迎パーティーなんか…多分そうだと思うんですけどね。一生懸命いい所だと思おうとしてるけれど、やっぱり行ったことがないですものね。一回行って帰ってくれば、「ちょっと寒いところだから、チョッキ持って行きなさい」なんて言えるんですが。─

また、往生という言葉があるでしょう。往生は死ぬことだと私達は思いますね。けれどもこの字を見て下さい。往きて生まれると書く。ですから、ただ死ぬことじゃないんです。往きて生まれるとは、あの世に行って、そこで生まれ変わるということ。つまり永遠の生命を生むということです。

 

─と書かれています。

死生観は、人それぞれ異なると思います。人は一人で生まれ一人で死んでいく。私は、人もまた、他の動物と同じ生き物なのだと考えるようになりました。つまり、死というのは誰にも訪れるということなのです。避けては通れない現実なのです。6週間の長いようで短かった研修の中で、緩和ケア技術の導入部分の死生観というところで、日々悩んでいる毎日ですが、得たことは、この死生観という問題が最初にして、一番の重要なところであると私は思うのです。冒頭の友人のように、医療関係者ではなくても、何かの受け売りでなく、自発的に学習し、自分の哲学として持っている人がいるということを意識し、私達は専門の職業人として自覚を持ち、自己の哲学や仕事に対する倫理観を身につけることが課題だと考えています。

この研修で学んだことを日々反芻しながら自分自身の死生観を持つべく努力し、自分自身を見つめていく決意です。

 

 

 

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