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これらのことは、ロールプレイなど講義の中で体験することができた。その時の患者、家族、看護婦の気持ちを忘れず、患者さんから逃げず、患者さんの立場に寄り添っていけるように努力していこうと思う。

 

社会的問題

 

入院に伴う仕事や経済的問題、家庭内や親族間の人間関係に悩むことがある。また、闘病が長期になったり、経過が慢性化した場合、患者の過ごす場所や看病など、社会的問題は複雑化する。家族にとっては葬儀のことや遺産のことが問題になる場合がある。社会的問題を解決するためには、まず社会資源を上手に活用する必要がある。社会資源は多種多様であり、私の地域ではどうすれば必要な社会資源が受けられるのか知ることにより、その患者や家族にあった情報を与えることができる。家族は患者自身の持つ強力な援助資源である。家族を援助することが患者の社会的援助につながる。

 

霊的問題

 

霊的苦痛には、1]生きる意味への問い2]人生の苦悩や苦難への問い3]今までの人生の罪責感4]死後の世界についての問い5]希望についての問い6]決して見捨てられない真の愛を求める叫びがある。

誰にでもある問題であると思われる。なおかつ、死に直面した人であれば生きる意味、価値、目的を見いだそうとする欲求は強いと思う。その人の心の深いところにまで踏み込んで理解することが必要である。そのため、医療者の人間性や人格が重要になってくる。具体的には、傾聴できる忍耐、共感する感受性、苦しみを受け止められる包容力、関わりきろうとする意志、慰めや希望を提供できる能力などが挙げられている。日常会話の中からキャッチする。会話の下にある本当の意味を聴ける。患者のありのままを受け入れ、霊的苦痛を抱えている患者と一緒に歩む。患者自身が本当に大事な存在であることを態度で示すことが必要である。

言葉や表情だけで心の深いところを理解するのはとても難しい。患者との人間対人間の関係の中で理解できるものであると思う。私も患者にとって大きな慰めや励ましになりたい。最後の癒しの器になりたい。そのために、確固たる人生観や死生観を持ち、患者の人生観や死生観を受け入れられる柔軟性を持てる、プロとして自分自身をコントロールすることができるよう、日々自分自身を磨き続けようと思った。

全人的ケアだけをみても、チーム医療の必要性を強く感じた。患者と家族を中心に様々な専門家が、同じ目標に向かって協力し合うことが大切である。看護婦として、患者と家族のために、それぞれの専門職種の専門」性を十分理解し、尊重しつつ専門性を最大限に発揮できるよう働きかけることが必要である。患者や家族との人間関係だけでなく、他のチームメンバーとも良い人間関係を築くことが、より良いサービスを提供することにつながると思う。

 

おわりに

 

研修を終え学んだことを、いかに患者に実践できるか、他のスタッフに伝えていけるかが、私のとって大きな課題である。しかし、素敵な方々との出会いがあり、とても大切な宝物ができたような気分である。同じ思いを持っている方々がたくさんおられることを励みに頑張っていこうと思う。この研修をスタートとしてチャレンジしていこうと思う。

 

 

 

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