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家族を支えることは患者を支えていくことにつながる。家族ケアの原則として1]患者、家族を個人としてとらえる。2]患者、家族の感情表現を大切にする。3]援助者は自分の感情を自覚して吟味する。4]受容する。5]患者、家族を一方的に非難しない。6]患者、家族の自己決定を促して尊重する。7]秘密を保持して信頼関係を築く。

患者と家族は切り離すことなく、患者と同様なケアが必要である。家族ケアは緩和ケア病棟だけでなく、一般病棟においても大切な看護の役割である。

 

おわりに

 

緩和ケアの研修を受けながら感じたことは、私が看護をめざした頃の気持ちです。人とかかわりのある仕事をしたい、誰かのために生きられたら素敵だ、という素直な感情です。

そして、何よりもかけがえのない家族や友人、私を支えてくれている周囲の人達と私の日常の生活がいかに大切であったかが再確認できたことです。“自分を愛してくれる人に囲まれて日常の生活ができること”─緩和ケアの基本は看護の原点だといえます。

ナイチンゲールは『看護覚え書き』の中で「看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさを適切に保ち、食事を適切に選択し管理すること……こういったことのすべてを、患者の生命力の消耗を最小にするように整えることを意味すべきである」。ケアにとって最も重要なことは、患者のためということである。患者に安らぎと安楽とを与えるに役立つものでなくてはならない。また、「よい看護はひとりで芽生えるものではない。それは研究と教育と訓練と実践の結実であり、最後にはどこへでも移植しうる健全な伝統を築き上げるものなのである」と述べている。看護はなにをなすべきか、基本に戻り実践していこうと思います。

 

 

 

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